第7話義賊の正義
シェパードは震える声で叫んだ。
「そ、そんな……馬鹿な……!」
そのまま突進してくるが、ネクロズマは静かに息を吐いた。
「あまり私が出しゃばるのは好まんのだがな――」
次の瞬間、ネクロズマの拳がシェパードの横腹にめり込んだ。
シェパードの身体は弾丸のように吹き飛び、壁を突き破って外へ転がり出る。
「相手は義賊だ。ここは、義賊が正すべき場面だ」
よろよろと立ち上がったシェパードは震えながら言った。
「ば、化け物が……お前が義賊だと……?強すぎだろ……」
ネクロズマは無言で糸を操り、シェパードの身体を絡め取る。
そのまま振り回し、地面へ何度も叩きつける。
「どうした?反撃はどうした?私はまだ二割も出していないぞ」
シェパードの手から風の短刀が転がり落ちる。
ネクロズマはその短刀に糸を巻き付け、ゆっくり締め付けた。
――バキッ。
短刀は亀裂を走らせながら、無残に壊れる。
「お前が強気でいられた玩具も、これで終わりだ」
ネクロズマは淡々と告げ、店の中へ戻ってきた。
レインは苦笑いしながら言う。
「いやぁ……強いとは思ってたけど、あれは予想以上だな……」
「そうか。ちなみに一つ教えてやる」
ネクロズマは振り返り、さらりと言った。
「お前の初級魔法も、私は無効化できる。――初級魔法ならな」
そう言い残し、ネクロズマは店を去っていく。
「初級魔法……?なんのことだ?」
レインが首を傾げていると、
「レイン」
クレアが戻ってきて声をかけた。
「クレア、大丈夫だったか?」
「全然大丈夫。でも……なんかレイン、シェパードが激昂するの知ってたみたいだったけど?」
「き、気のせい!たまたまだって!」
レインの慌てた声が静かな村に響いた。
2人も、夕暮れの道をゆっくりと帰っていった。
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