第6話ループを抜け出す糸

 レインとネクロズマは村に到着し、魔具店に足を踏み入れた。


 その瞬間、シェパードが立ち上がる。

クレアの手には、何かが握られていた。――ポーションだ。


「義賊がポーションだと?随分高価なものを買うんだな、嬢ちゃん」

シェパードは短刀を手にし、冷ややかに笑う。

「義賊に傷を負うことなんて、滅多にないだろう」


「これは……私のじゃない。友人のためよ」

クレアは言葉を選びながら答える。


シェパードはさらに嘲笑うように言った。

「村の連中なら、そんな装備や高価なものは身に着けねぇ。小汚い服や粗末な道具が普通だ。お前が街から来たってのはすぐ分かるぜ」


 そして風の短刀を抜く。

「シェパード!」

レインは咄嗟にバインドを展開し、シャインで閃光を放った。

「最弱の冒険者なめんなー!」


 だが、シェパードは斬撃を操り、その風の刃がレインへ飛んでくる。


「レイン!」

クレアが叫ぶ瞬間、ネクロズマが糸を操った。

その糸が斬撃を止める。


「安心しろ。斬れはせん。この糸には私の魔力が込められている。レイン、お前の言う通り、最弱の冒険者。侮れないな。ここまで弱いとは…」

ネクロズマは静かに言い放つ。


「うるせぇよ……それより勝てるのか?」

レインが尋ねると、ネクロズマは少し微笑んだ。

「誰にものを言っている。私は義賊だが、元魔王軍幹部でもある。勝てるも何も、ほぼ決定事項のようなものだ」


「義賊なのに、そいつらの味方をするのか!?」

シェパードは叫ぶ。


「義賊だからな。幹部時代からそうだった。人の下に従うのが好きではない。自由に動くために、義賊としての道を選んだのだ」

ネクロズマは静かに言う。


 シェパードは風の斬撃を放とうとした。

だが、刃は途中で止まる。


「驚いたか?そうだろうな。私の目は特殊で、相手のスキルや能力を無効化できる。人間でも魔族でも武器でも同じだ。つまり、お前の風の魔法を使った斬撃は、もはや玩具に過ぎぬ」


 シェパードの目が一瞬、恐怖に揺れた。

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