調査記録
はいはーい!お呼ばれしました〜、夏村花火です!いやーまた謹慎処分食らっちゃいましたよ。ちゃんと仕事しただけなのに!悲しー。
やだなぁ無駄話なんてしてないですよ!パンフにも書いてあるじゃないですか。「汝、コミュニケーションを取るべし」って!
今回の私の作品、どうでした?私としては、まあまあの出来かな?元の素材が良くなかったんで、って、これは言い訳か。完璧な表現活動者はどんな素材でも活かして表現するんですもんね!
作品名は〜、『第5の女』とかどうです?安直ですかね。5作品目だから、『第5の女』!
私ネーミングセンス皆無なんですよぉ。先輩が付けてくれません?
あーあ、先輩真面目クンだから私と記録の時あんま喋ってくんないですよね。つまんなーい。はいはい、ちゃっちゃと記録取ればいいんでしょ?分かりました分かりました。
改めて、夏村花火でーす。年齢は22歳、今年で入局5年目。⬛︎月⬛︎日に鳥取県の、あ、ここから機密ですよね?記録に載せらんないやつ。
はい、鳥取県に行ってましたー。
八尺ちゃんとは5度目の出会いですねー。1年に1回の頻度で出没するので、新人の頃からの付き合い。こんな付き合いいらねー。
まあいつもの通り、でっかい体でずーっとぽぽぽぽぽぽぽぽ言ってましたよ。あとは食べてましたねー頭丸ごと。大きいお口で飴玉みたいに。髪の毛邪魔じゃないのかな?
あっちも5回目で流石に私の事認知してるんですよ。「こんにちはー」って声掛けたら普通に殴りかかってきましたし。
2m越えから出される拳って早いんですよ。しかも当たったら痛い。あ、私は当たらないです。最初の方で一緒にやりあってた子がパンチ食らって地面に落としちゃった卵みたいになってたんで、予想ですね。
まあそこから開戦のゴングですよ。いや私人外魔境で戦えないですけど。比喩ですよ比喩。対策班で作ったぽぽぽちゃん専用兵器あるじゃないですか。投げつけたらアイツ、人じゃないくせに「痛い」って言うんですよ。誰の声かわかんない声真似して。
連れてかれた子達はもっと痛かったし怖かっただろゴミ女がって思っちゃって、そっからはぽぽぽグッズを全力で投げ付ける人でしたね私。あとは持っていきやすいようにバラしました。無駄にデカくて邪魔で仕方なかったんで。
いや、普通に気色悪いヒトモドキが何を言うとると思いません?思い出しただけでキショいですね。あ、鳥肌立ってる。
で、生命活動停止ーからのご臨終ーをして、解析班の人に連絡入れてから、作業スタートしましたね。作品作りの。
今回の素材は大部分が17歳の女の子!それで他のパーツが15から20の子たちの腕と足ですね。大部分の子は彼氏との子供2と、喋っちゃいけないタイプのビジネスでできちゃった子供1をやっちゃったので、物資班の人に引っ張ってきて貰った子です!
私子供が痛い思いするのとか許せないんで。
すごい泣き叫んでましたよお手本みたいに。洋画とかでパニックになった女性って感じのパニクり方。それで私はすっごく親切で優しくてカインドちゃんなので絵に書いてあげて見せてあげました!
貴女が今から変身する素敵なお姿ですって!
どこも切ったりせずに縫い付けて立てるようにするだけ!その子の身長がだいたい150センチくらいで、八尺ちゃんにはあと1メートル足りないじゃないですか。
そこで大天才の私は思いつきました!骨入りの足を沢山つけたら上手いこと行くんじゃね?と。
そうすると足が長くなる分、手も長くならないと不自然なので、手も増やしました!4人分使いましたね。手8手足8足。丁度8だ!今気づきました!八尺ちゃんの代わりだしちょうどいいかな!
それで作品作りをおえて、顔が涙とか鼻水とか泡とかで汚れてる大部分ちゃん、名前、名前は...覚えてないからいいです。の、顔を拭いてあげて、立たしてあげて、あとは救急車を呼んであげました!えらい!
「道端で凄く身長の高い女の人が倒れています。保護してあげて欲しいです」
って。あ、それからですね、行方不明だった男の子たちいるじゃないですか。さっき頭食べてるやんけって言ったと思うですけど、あれ違いました。その男の子たちの父親の頭だったらしいです。
いやービックリビックリ。まさか父親の方食べてるなんて思ってませんでしたよ。しかも行方不明とか資料に乗ってないし。認識阻害とか受けてません?後で検査した方がいいと思いますよ。
あ、男の子たちなんですけど、八尺ちゃんのことママって呼んでて、森の奥の空き家で住んでました。
え?調査書には行方不明から発見ならずみたいに書いてある?
いやそりゃ急に焼死体になってる我が子見るのは辛いと思って。私なりの配慮ってやつですかね?やっさし〜!
あ、その空き家は燃やしました。妖怪のことをママなんて呼ぶのは、妖怪の子だけなので。
記録確認者からのコメント
先輩吐いちゃったんで私が書きますね〜!今日も完璧な夏村花火ちゃんでした、まる!
確認者:八木郷
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