一分程度
〈老人口調の男と拾われ青年〉一分程度 ●男(老人口調) ◇青年
●「ひょぇー、流石に冬ともなると川も冷たいのう」
◇「冬なんですから当然です。まったく……こんな時期に川に入る馬鹿はあなたくらいですよ。気が済んだら早く上がってくださいね」
●「なんじゃ、えらい冷とうなったのう。お主も冬に感化されたか?」
◇「上手いこと言ったつもりですか?」
●「割と上手く言ったつもりじゃったが」
◇「はぁ……。いいから喋るか潜るかどちらかにしてください。川辺は寒いんです」
●「仕方ないのう。ひと潜りしたら上がる。それまで耐えてくれ」
◇「はいはい……」
●「お、そうじゃ。今晩はおでんにしようか」
◇「っ本当ですか!」
●「うむ。最近頑張っていたからな」
◇「やった!」
●(ふふ、大きくなったと思っていたが、やはり中身はまだまだ子供じゃな)
〈殺し屋に情はいらない〉一分程度 ●◇男
●「俺はこの仕事をやめる」
◇「……は? なんで。上手くいってただろ。仕事覚えてきたし、効率もよくなったし」
●「クサカベ、俺はこの場所を気に入りそうになっている。それはマズイ。俺は殺し屋だ。冷酷無慈悲な暗殺者だ。そうでないといけない。……そうでないといけなかった。仲間の誰が死んでも無表情でいられると思っていた。でも、誰にも死んでほしくないと心の隅ででも思い始めたら、俺は弱くなる。心の乱れが銃に出る。俺は強くない。仲間の死を日常に笑える程強くない」
◇「……そうか。……分かったよ。お前がそうしたいなら、そうするといい」
〈勘違い探偵〉一分程度 ●◇男
●「っおい、どこ行くんだよ」
◇「僕は役に立たないから」
●「待て!」
◇「……何?」
●「お前、何馬鹿な事言ってんだ。俺は役に立つか立たないかでお前を選んだ訳じゃねえ。一緒にいたいと思ったから。それだけだ。てめえで勝手に勘違いしてんじゃねえ!」
◇「……なんかすごい嬉しいこと言ってくれるじゃん。でもね、勘違い野郎は君の方。まあ僕の言葉が少なかったのは謝るけど、君の体自慢の事件解決方法には非力で運動音痴な僕には付いていけないんだよ。僕は僕で情報収集するから、一時間後にそこの噴水で。……ま、ありがとうだけ言っとく」
●「……ああ、そうか。……あぁ、またな。……なんか、俺、恥ずかしい。勘違いした……」
〈戦闘狂の困ったちゃん〉五十秒程度 ●可愛い系男(若め) ◇男
●「お兄さんったら馬鹿だね。またこーんな簡単な手に引っ掛かっちゃって。……それとも、ボクに会いたくてわざと騙されて来てくれたのかな」
◇「察しがいいようで」
●「えへへ、君のことなら何でもお見通しのつもりだよ」
◇「それで、この間の事件について何か知ってることがあるんだろ? 早く教えてくれよ」
●「やっぱり、君を釣るのに事件はいい餌になってくれるね。でもタダでとは言わないよ。僕に勝ったら教えてあげる。さ、早く勝負しよう?」
◇「戦闘狂は疲れるな」
●「そんなこと言わないでよ〜。ボク結構強くなったんだよ?」
◇「それが本当だとちょっと困るが」
●「え〜? うそつき〜。お兄さん強いじゃん」
◇「お褒めの言葉どうも。じゃあ始めようか」
〈
●「君は、かの鬼の息子だね。罪は償わなければならないことは、君も分かっていただろうに」
◇「知ってたよ。……知ってたけど、そう簡単に割り切れる程俺は大人じゃない。あいつにも言われた。ガキくさいって。でも、じゃあ……どうしたら良かったっていうんだ。たとえ人を喰ってたとしても、俺にはたった一人の母さんで。俺が安心して生きていける唯一の場所で。……恨むなって言われて恨まない方がおかしい」
●「そうだね。それが当然だ。ただ……」
◇「ただ……?」
●「君の母上を祓った者の仲間である私が言うのもなんだけれど、私は君を受け入れる場所でありたいと思っている」
◇「……はぁ?」
●「選択肢の一つとしてね」
◇「……今は断る。寝首を掻かれてもいいなら行くけどな」
●「それは困るな。……でも、私ならなんとか出来るからね。どうしようもなくなったらおいで」
◇「……うん……いや、行かねえよ!」
〈異世界宿屋〉一分程度 ●少年(中学生程度) ◇中年女
●「痛っつつ……」
◇「あら、あんたぁ、すごい所から降ってきたけど……大丈夫かい?」
●「一応大丈夫で……あれっ? ……あの、ここは一体」
◇「ここはアタシの宿屋。『
●「で、でも僕、お金払えません……」
◇「お金? なんだいそりゃ」
●「え……? えっと、宿に泊まる為に必要なものというか。……そ、そう、物々交換的な」
◇「あぁ、別にいらないよ。趣味でやってんだ。ま、そういうことよ。せっかくなんだから泊まってきな」
●「あ、じゃあ……お言葉に甘えて。ありがとうございます」
◇「いいってことよ」
●(取り敢えず寝る場所と食事はゲット……したけど、ここやっぱり異世界だよね。どうやって帰ろう……)
◇「後でお夕食持ってくからね。部屋は一番手前のね」
●「あ、ありがとうございますっ。……まあ、後のことは後で考えればいっか」
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