出張ネイリスト異世界でもネイルをする

ありえ

第1話 イタズラ予約?

 私の仕事は出張ネイリストだ。

 有難いことに沢山の方が利用してくれてフリーランスだがとても順調だった。

 ある日ご新規様からご予約を頂いたが、住所がおかしい。

 というのも普段は東京で仕事をしており、基本的には通える範囲での依頼しか受けていないし、距離により料金も変わるためそんなに遠い所から予約が入る事はほとんど無い。

 それが知らない国? からの予約だった。


◇予約連絡◇

日時:11月11日 10時〜13時

名前:ハーフムーン王国

住所:ハーフムーン王国、ハイポニキウム町11-11

施術内容:ジェルネイル

希望欄:相談したい。


 …こう記載されていた。

 ハーフムーン王国…。

 どこだよ!

 名前欄もその王国になっているし、これは悪質なイタズラか?

 しかもこの予約サイトはこちら側からキャンセルをする事は出来ずどうしたら良いのか分からない。

 とりあえず、この予約は1ヶ月後だ。

 それまでこの予約は入ったままになるので他の予約が入らず無駄な時間になってしまうかもしれないが諦めよう。

 いっそこの日は休みにしても良いかもしれない。


 その晩、友達に意味の分からない予約が入った事を愚痴っていると、友達は異世界行きじゃない? と面白がりその日の予約時間以降に遊ぼうと会う約束をした。

 また、万が一異世界行きだった時のために最低限の携帯食料は持っていくように言われた。

 そして私が帰って来られなかった場合は現世のアレコレ手続きを変わりにやっといてくれるらしい。


 …そんな馬鹿げた話をしていたが日常生活を送っていると月日はあっという間に経ちいよいよ明日は11月11日だ。

 友達に煽られたせいでちょっとドキドキして来ている。

 いつもの出張ネイルの様に仕事道具の確認やライトの充電、そして何かあった時用の携帯食料と塩&砂糖&胡椒を準備する。

 塩&砂糖&胡椒はあの後わざわざ友達がメッセージアプリで持っていくように伝えてきたものだ。

 友達は良く異世界物の話を読むらしく、これらがあればお金に困らない素晴らしいアイテムだそう。

 しかもネイルバッグの底に入れ上に布を被せその上にネイル道具で隠すよう指示された。

 多分これで準備万端だ。

 ドキドキしつつも眠りにつく。


 翌朝いつも通り起き、自分の身支度を整え10時間際に一応全てを持って待機する。

 ドキドキ…ドキドキ…ワクワク…。


 そして時刻を迎えたとともに知らない部屋に立っていた。

 

◇用語集◇

ハーフムーン:作中は王国の名前だが、爪の根元に見える白い半月の事。

ハイポニキウム:作中は地名だが、爪の裏側で爪と皮膚を繋いでいる部分。

11月11日:ネイルの日、指が4本並んでいる様に見える。




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お読み頂きありがとうございます!

カクヨムコンにこの物語を出そうと思いまして、10万文字まで更新頻度高め(大体週5予定)で行きますのでよろしければフォローお願い致します(*^^*)


用語集を最後に記載しておりますが、『コレ』の説明もあった方が良いと思った単語がありましたら、コメント欄よりお知らせくださいませ。


本日は2話更新でその後は1話ずつアップしていきます。2話目は7:05に公開です。

今月残り少ないですが毎日朝7時投稿となります。

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