西藤公園

@RENTUMU

雪のない冬空の下で。


彼女は 屋上に座りこんでいる。


僕の声は 届くだろうか


「……。 おつかれ さま」



本当は 話しかけるべきではないのかもしれない。



本当は 1人になりたいのかもしれない。



そうするべきだと思うし



僕は 何も出来ない


だから 関わるべきでもないのかもしれない。



でも




「あの。 あのさ だいじょうぶ?」




よっぽど辛い事が…。


彼女は 反応すら してくれない。



夕日が 彼女を オレンジに染める



そして 気がついた


少しだけ 肌寒い。


僕は 学ランを 1枚 彼女に かぶせた



ちょっとでも なにか したくて。



ササッ。


彼女が のそっ と 横に 動いた



ここに座れって 事なんだと思う。



僕は そうした。



僕の 出来ること。


それは 隣にいてるだけなんだって

おもった。



でも いいや



隣にいられるんだから



少しでも。 少しだけでも



なにか なにか。



オレンジの空はやがて


黒色に 染まっていった。



そうして ようやく 君は 一言



「私は 冬 が すき。

言葉が白く 目に見えるから」



君の 君の 今抱えてることを


僕も 一緒に 持ってあげるぐらい

できるし やりたいのに


なにか 少しでも…。



……。



この 屋上から


見下ろした 町と 見上げた星空だけじゃあ きっと。



今の君には 届かない かも しれないな。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





ただ ぼーっとしいる。



ぼーっと 落ちてく 夕日を


ただみてる。




酷い事はあった。


耐えらない事があった。



もう無理 でも ぶっちゃけ



こんな事 も わたしにとっては


日常で。



ただ このぼーっと してる 時間が


好きなだけ。




がちゃ



… 誰か が来た。



今は 気付かないふり



だって 話しかけて欲しくない。



この夕日が 落ちるまで



この街を 見てるの。



今 話しかけらたかな?



ごめん 本当に きづかなかった。


って 心で 答えても 意味ないか



…。 はぁ


車が どんどん 帰っていく



あかりが どんどん ともつていく。




ぱさっ




ビックリした。




なにか かけらたかな?



あったかい。 あったかい。



あぁ そっか 私今 そっか



辛いんだ。



なんでだろう 彼に どこかにいってほしくなくて



声は でないけど


少し のけぞってみた。



隣に 座ってくれる 彼。



あぁ この人 優しい人だ。



はぁ… 綺麗。



大きな 息が もれる。



私の ため息は 白くて


空に のぼっていった。



満足かな



「私は 冬が好き。

言葉が 白く 目に見えるから」



本当は ありがとうって


伝えるべきなんだろうな。



私って やっぱり 自己中。


こんなんだから


こんな日々から 抜け出せないのかな




ふと 彼の 匂いに つつまれた。



気がついたら 彼の胸の中。



大人しそうな 人なのに



優しそうな 人なのに


こんなに 彼のここは おっきくて


居心地がいい。



もう 頭は 回らない。



なにを 言えばいいのかな?



私は なにを 伝えたいのかな?



絞り出した 私の 白い言葉



「私は 冬が好き。」 だった。



それからのことは


もうよく 覚えていないけど。



冬なのに とても 暖かかった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

西藤公園 @RENTUMU

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ