第4話 お花屋に夢咲さん
放課後になった。速攻駆け出して家に買えるぞ。1、2の3。
「ゴオ!!! 家の位置を特定されてたまるかアァ!!」
「まて! コラァァ! 平良らぁぁ! 待ってくれ! お前を捕まえないと俺が園芸部に強制加入させられるんだ!!」
「のわぁ?! 健斗! お前。なんで俺を
「絶対に離さない。俺は平良を引き止めれてくれれば。園芸部には入らなくていいって、夢咲に言われてんだ」
「それで親友を夢咲さんに売るのか? この薄情もんがぁ!」
「良いだろう? 美少女の
「建前を崩して、本音を言ってんじゃねえよ。いいから俺から離れろ。夢咲さんに掴まんだろ……」
「うんうん。捕まえた捕まえたよ。成田くん、ありがとう。良かったね。これで成田くんが私の親友の寧々ちゃん好きだって、寧々本人にバレないね」
俺の前に座り不適な笑みを浮かべる夢咲さんが、俺の手をガシッ!と掴んだ。
つうか夢咲さん。力強くないか?
「くっ! ありがとう。それじゃあな。達者でな平良~! 色々と応援してるからよう。じゃあな~!」
「待て! 健斗! この裏切り者がぁあ!」
「……熱い友情だね。それじゃあ。平良くんのお家……お花屋さんに一緒に行こうね」
だから。そのニコニコ笑顔が怖いって、夢咲さん。
「くっ!……逃走に失敗してしまった」
……こうして、俺は夢咲さんに家の位置を特定される事が確定した。
◇
《平良造花店……兼大手企業 平良財閥別邸》
「坊っちゃん。今、帰ったですか? お帰りなさい!」
「遥人様~! 良い薔薇が咲きましたよ」
「お帰りなさいませ。遥人様」
「…………ただいま。皆さん……今、帰りました」
「へ?……平良くんのお家ってお金持ちなの?」
駄目だ。終わった……変人園芸部員に俺のお花屋を。平良造花店を特定されてしまった。
「あ、あそこのハウスはシクラメンを作ってるの? あっちは薔薇園?……あの向こうは花園になってるけど。全部、平良くんのお家の敷地なんだよね? ね?」
「そうだな」
そう。家はお花屋さんだ。大きい大きいお花屋。作る側のな。日本……いや、世界有数の造花系の大手企業。平良造花店……俺はその跡取りだ。
そして……おいおい。案の定、家の敷地に栽培されている、それぞれの栽培エリアに興味を持ち始めた。マズいマズいマズい……このままじゃあ。夢咲さんに
「……凄いね。平良くん。これなら私達の園芸部員になれる資格バッチリだね。」
「いやいや。何を言ってんだ。俺は変人集まる園芸部員になるわけないだろう」
「ん~? それなら、その変人園芸部員の女の子達にこの素敵な場所を紹介するけど良いのかね? そうなるとどうなるんだろうね? 平常心を保てる私ならともかく。お花好きのあの娘達が来たら、平良くんのお家はきっと大変になちゃうよね?」
「夢咲さん。君、俺を脅す気か?」
「のんのん。これはお誘いだよ。平良くん。私は平良くんと平良くんのお家に凄く興味がある。平良くんは園芸部員にならないと変人園芸部員さん達に生活を侵食されます。立派な等価交換の完成だね。平良くん」
ニコニコ笑顔で何を言ってんだ。この娘は……
「くっ! 腹黒娘め……俺が園芸部に入れば。俺の事は黙ってくれるんだよな?」
「うんうん。黙っとく黙っとく……これで私と平良くんは秘密の関係だね。これから仲良く園芸ライフを楽しもうぞ。相棒くん。ん!」
ニコニコ笑顔で俺に右手を差し出す。夢咲さん。
「……何が相棒なんだか。全く」
そして、俺はその夢咲さんの右手を自身の右手で握り。謎の握手を交わした。
これが変人園芸部筆頭の夢咲六花とお花屋さんの跡取り息子の俺との園芸学園ライフのスタートするとは思いもしなかったんだ……
陽だまり差し込む朝の日に園芸部所属の美少女と仲良くなっていく話 『短編になります』 冰藍雷夏『旧名は雷電』 @rairaidengei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます