第3話 休み時間の一時に
「は? あの変態園芸部に勧誘されたって?」
「いや、お堅く断るけどな」
「止めとけ。止めとけ~! あんな蠱毒の部活なんてやるより。平良はガタイが良いんだから運動なしろって! 陸上の甘夏からスカウト来てんだろう?」
「いや、来ているがな……俺は家の手伝いがあるからどのみち無理だ」
「相変わらず。家族大好きだな。平良家の人達は……」
親友の
(ところでところで、お花屋の平良くん。どうかな? 園芸部に入らないかね? そうすれば毎日、私みたいな美少女達に会えるよ)
(絶対に遠慮するわ。家の手伝いあるしな)
(え~! 絶対に入ってよ~!)
(絶対に嫌だ)
なんてやり取りを職員室まで付いて来た。夢咲さんにしつこく言われたんだよ。
「勧誘ねえ。美少女揃いだが変人の園芸部……入学当初はあの娘達目当てにいっぱい入部してたよな」
「……その後、誰一人も残らず退部したんだろう? 入部した一週間でさ」
「まぁ……俺が平良にアドバイスできる事は一つ。園芸部には関わるな。だ!」
「だよな?」
「それはその人達に園芸部の活動に耐えきれるスタミナがなかっただけですよ~! なになに? 成田君も園芸部に入りたいならいつでもウェルカムだよ」
なんて話で盛り上がっていたら、園芸部所属の夢咲さんが俺達の後ろに立っていた。
「ニコニコ笑顔でぶちギレてる夢咲?……あ! 俺、喉乾いたから自販機行ってくるわ! 平良~! うんうん。そうだよな! やっぱり。園芸部最高だよな? 最高ってさっきまで言ってたもんな! 頑張れ園芸部……応援してるから~!」
とか言って、健斗は後ろステップで教室を出て、怒るニコニコ笑顔の夢咲さんから逃げやがった。
「待てコラ! 俺も是非に自販機に付いて行く……」
ガシッ!
「うんうん。それでそれで? ぜひとも私の所属する園芸部に入部希望の平良くん。今日の放課後は暇なのかな? 暇なんだよね? 暇じゃないと駄目だよね?」
圧が凄い……
「ひ、暇ではない。俺は家の手伝いがあるんだよ……それに俺は園芸部にも入部しないからな。園芸部が変だって言ったのは謝るけどな」
「うんうん。じゃあ、明日の放課後に一緒に園芸部の部室に行こうね。約束約束~!」
「いや、だから今日は家の手伝いだって」
「家の手伝い……平良くんのお家はお花屋さん……珍しいお花がいっぱい?……それなら私も手伝いに行ってあげるよ。平良くん。だから珍しいお花見せてくれるよね?」
「……なんでそんな急展開になるんだよ?」
夢咲さん……ポヤポヤしているが。本当に抜け目ない性格だ。これでは俺の家を変人園芸部員に知られる事になるだろうが~!
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