陽だまり差し込む朝の日に園芸部所属の美少女と仲良くなっていく話 『短編になります』

冰藍雷夏『旧名は雷電』

第1話 園芸部のマドンナ

 俺の名前は平良遥人たいらはると。高1。


 成績はそこそこ運動ダメダメな普通の高校生男子と自負している。


 実家は皆の憧れる花屋さんだ。


 そんな実家が花屋さんの俺は家の手伝いで自分が通う学校に朝早く登校した。


 理由は簡単。俺が通う高校からお花の注文を受けたから届けに来た。そして、ついでに登校もする。


 なんという効率的な働かせ改革だろうか。恨むぞ。母さん、父さん。


 よくも俺の貴重な朝の一時を、誰も居ない静かな学校で過ごさせやがると―――


「……は? あれ? 俺よりも早く学校に来ている人がいる? しかもなんでこんな寒い冬に花壇に水やりしてんだ?」


「フンフン……フン?」


 ……あれ? あっちも俺の存在に気がついた。水やりしているホースを向けて。


 ピュルルとちゅうを描く様に俺に向かって飛んで来る。


 ま、不味い。このままだと商品の花束が濡れる。守らないと!


 俺は手にもっていた花束を隠す様にして濡れない様に身体の後ろへと移動させた。


 そして、色とりどりの花の束を持った俺が出会でくわしたのが、園芸部のマドンナ夢咲六花ゆめさきりっかだった。


「ああ、これでずぶ濡れ確定か……あれ? 濡れてない」


「はわわ~! ごめんね~! 朝のお日様ひさまに当たってたら。身体がポカポカして回りが見えなくなっちゃって~!」


「君は……たしかに変人が集まるで有名な。たしかに園芸部の……マドンナさんか」


「ん? んん? 色々と可笑しな単語が君のお口から聞こえて来たけど。スルーしてあげるね。もうちょっとで君をずぶ濡れにしちゃう所だったし。罪悪感パンパンだから。特別だよ?」


 ……茶髪に童顔の可愛らし顔。そして、このポヤポヤしている女の子は夢咲六花ゆめさきりっかさんだ。


 同じクラスで。この学校でも有名な変人集まる園芸部所属の花好きの変じ……少し変わった人だ。


「む? 平良たいら君。今、私の事でよからぬ事を考えていなかったかね?」


 す、鋭い! 流石、変じ……ゲフンゲフン。流石が花好きだな。


「い、いや。何も考えてないよ。つうかなんでこんな朝早く学校に来てんの? 夢咲さん」


 同じクラスだが。それ程親しいというわけでもないので適切な距離で会話をする。


 変に仲良くなると変人園芸部に勧誘されかねないからな。


「それはね~! そこに花壇とお花が咲いているからだよ! 平良君」


 もう意味がわかんねえよ。夢咲さんは可愛い女の子に言動が電波少女だからな。会話がときどき宇宙人になる。


 いや、クラスでは人気ものなんだけどさ。


「そうか……それじゃあ。今度からは水出しっぱのホースを人に向けるなよ~! それじゃあ」


 俺が両手に花束を持っている事に気づかれ無い様に職員室に行こう。夢咲さんにバレたら嫌な予感しかしないからな。


ガシッ!


 ……腕を捕まれた。なんでだよ!


「うんうん。それは本当にごめんね。平良くん……それで平良君にちゃんと謝りたいから。今日は園芸部の部室に招待してあげるね」


 ……なんか招待された。意味が分からない。


「い、いや。それはいいかな。夢咲さ……」


「それで? なんで、平良君はこんな素敵な素敵なお花の束を持っているのかな? ぜひぜひ。花好きの六花りっかに教えてくれると嬉しいかもなんだよ?」


 日が短い冬の陽光を浴びる六花ろっかの花の様に、夢咲六花さんは俺に笑いかける。


 これが俺と夢咲さんのスクールカーネーションライフの始まりだとはその時の俺は一切気づかなかった。



第1話を最後まで読んで頂きありがとうございます。

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