初心者へ。創作論はあくまで補助だ

結奈城 黎(ゆうなぎれい)

創作論 読むより先に 小説を

まず最初にこの文を見てくれてありがとう。


この文を読んでくれるということは、君はおそらくこれから小説投稿を始めようという人だと思う。


そしてきっと僕意外にもたくさんの人の創作論を読み漁ってきたのだろう。


だが、あえて最初に断言する。


──創作論を読むよりも先に自分の小説を書け


これがすべてだ。そうじゃなきゃ何も始まらない。


創作論は、小説を投稿し始めてから読んでも遅くはない。


いや、むしろ稿からの方が創作論は段違いで役に立つ。


これは、僕自身が色々な創作論を読んできたからこそ言えることだ。




そう言うと、君はきっとこう反論したくなるかもしれない。


「小説を書く前に、投稿する前に知っておいた方が良い知識だってたくさんあるんじゃないか」


その気持ちは重々承知の上だ。僕だって最初はそうだった。


もちろん、知っておいたほうが良い知識もある。


・pvが伸びやすい時間帯は夜

・星爆はするな

・自主企画に参加してみようetc…


ただ、こういった内容はありがたいことに、あらゆる創作論で取り上げられている。


数本読めば、そういった重要事項を見落とすことはないだろう。




さて、ここからが本題だ。


カクヨムで投稿するうえでの基礎知識さえ身につけ、学び終わったなら——


もう筆を動かしてほしい。


理由はいくつかある。


まずは執筆経験の有無で、創作論の吸収力は天と地ほどの差が生まれるからだ。


作品を書けば、その経験を基に創作論の内容をより理解・咀嚼できるようになる。


・自分が実際に執筆で詰まったポイント

・PVや継続率のリアルな数字

・読まれる時間帯や傾向

・どこで離脱されたか


執筆中に壁を感じたり、どうなったら良いかわからなくなった時、創作論を読めば、具体的に役立つ知識や解決策を探しやすい。


こういう実体験がある状態で創作論を読むと、「あ、これのことか!」と腑に落ちる。


逆に経験ゼロのまま理論だけ読んでも、「頭で知識を理解しても、実践的な知恵を理解していない」という“机上の空論状態”になりがちだ。



実際、人間は自身の経験と照らし合わせた方が物事の吸収が早いのは、科学的にも証明されている。やはり、執筆というリアルの経験はなるべく早く積むべきだろう。




次に、創作論は万能ではない。


創作論は小説を書くための手助けにはなるが、読んだだけで作品がすぐ良くなるわけではない。


それに、創作論の内容が本当に自分に合うかだって分からない。


その人だけがたまたま成功した方法

その人の作風にしか通用しない理論


そういったものが創作論に書いていることだってある。


執筆を続けると、自分に必要な情報を自然と取捨選択できるようになる。

それは実際に書いた人間にしか身につかないスキルだ。



そして創作論では、似たような内容が書かれてることも多い。


もちろん、独自の解釈を交えた素晴らしいものだってあるが、似たような内容をずっと読み続けるのは時間がもったいない。


創作論を書く理由の1つは(盛大なブーメランだが)自分の作品を読んでもらうためでもある。その視点を頭に入れておくのも大事だろう。




そして最後に言うべきことがある。

というか、これが最も大事だ。


創作論ばかりを読んでいると、目的がすり替わることがある。


「小説書くこと」が目的だったはずなのに、いつしか「創作論を読むこと」が目的になってしまうのだ。


「理論を完全に理解しないと物語は書けない」と一度思い込むと、なかなか筆は進まなくなる。


その結果、実際に自分の作品を書くのが後回しになるばかりか、創作論や他人の意見に振り回されすぎて、自分の直感や感覚を置き去りにしてしまう。


それは最も避けるべき事柄だろう。


だが、これは創作者がすごく陥りやすい罠だ。理論ばかりを読み漁って「分かった気」になってしまう。


僕も作品に完璧を求め、執筆が止まることがあった。


けれど、悲しいことに創作論を読んだところで文章力が急激に伸びるわけでも、執筆速度が上がるわけでも、面白い話が突然書けるようになるわけでもない


面白い作品を生み出すためには、結局物語を書かなければならないのだ。


君の時間は有限だ。


創作論を読んで、プライベートもこなして、最後に自分の小説を書く…というのは、少々難しい話だろう。



だからまずはとにかく書いて、投稿して欲しい。


創作論を読んでいるだけで創作した気になっていては本末転倒。


あなたが本当にすべきことは、物語を書くことだ。

創作論を読むのはその後でも間に合う。


一度書いて、投稿してみる事で必ず新たな景色が見えてくる。


あなたが書きたい物語を、創造できるのはあなただけだ。


執筆ライフをより良いものにできるのもあなただけだ。


さあ──筆をとれ、有志よ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

初心者へ。創作論はあくまで補助だ 結奈城 黎(ゆうなぎれい) @name-if

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ