第18話「宣戦布告」

2人はシゲオと別れを告げ、教室に戻り一息ついた。

「それにしても、「ミス」には驚いたな…。」

ハルキは戦慄を思い出す。


「普通はミスなんて出ないのか?」

「あぁ…あんなの見た事がない。可能性があるとすれば、シゲオ先輩の嘘の思い出か…タイラ先輩のスキルなのか、って所だな。」


「スキルか…。やっぱこの先も強いスキル持ちがいるんだろうな。」

「そうだな、でもお前もすげぇスキル持ってるじゃねぇか。」


タクトの持つスキル「真理」は今後相見える強敵達への切り札となるのか。

タクトは不安に感じていた。


「俺のスキルなんてまだまだだよ…。この先やっていけるかなんて…。」

「じゃあスキル持ってない俺はどうするんだよ!」


2人は笑いながら夕暮れ時を迎え、第2回戦の最終戦が始まろうとしていた。


「ハルキは最後の試合か…。」

「くそっ最後なんて緊張するぜ。」


「第2回戦最終試合。ハルキ…。」

放送を聞くとハルキは立ち上がった。

「よしっ。俺行ってくるわ。シゲオ先輩の為にも、そしてお前と戦う為に…。」


「あぁ…。応援してるぜ…!」


「対するのは…。「帰」を司るレクエルド!!帰宅部エース!リクだぁあ!!!」


校内放送を聞いた2人の動きは止まった。

たった2人しかいない教室に冷たい風が舞い込むように…。

「ハ、ハルキ…。」

「大丈夫だ…。安心してみてろって…。」


そう言ったハルキの手は震えていた。


戦いの場所は駐輪場。

相手のホームグラウンドととも言えるこの場所で大歓声が巻き起こる。


「いけぇ!リク!負けるなよ!」

「バカ言ってんじゃねえよ。すぐ終わらせてパパっと帰るんだよ!」

「さすが帰宅部だぜ!!」


リク一色の雰囲気に呑まれないよう深呼吸をするハルキだが、動悸が治まらない。


「おう!君がハルキ君か…!俺この後バイトあって早く帰りたいからさ、サクッと終わらそうな!」


自らが負けるなど微塵も思っていないリク。

その言葉に怒りを覚えたハルキは宣戦布告の如く言葉を返した。


「はい、サクッと帰らせてあげますよ…。」


続く

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