第16話「困惑」

「へぇ〜ミスって初めて見たなぁ。こんなこともあるんだな。」


初めての「ミス」に呑気に反応するタクトに対し、ハルキは驚きの表情を見せていた。


「ミスだと…!?そんなの聞いたことが無い…!」

「え…!?」

観客達も見た事の無い現象。


「いやぁミスならしゃあないしゃあない!まだ終わってない!次や次!」

他人事のように振る舞うタイラ。

困惑と怒りが交わりシゲオのフラストレーションは溜まっていく。


「バカにしやがって…!早くカードを出せ!」

「そんな焦らんでもすぐ出したるさかい。」


 ̄おかあちゃんと買った宝くじ、2000円当たった


「40ポイント!」


「あーまたしょうもないダメージやぁ!ほんま今日あかんわ〜。」

誰も驚きも笑いも起きない不気味な雰囲気。

未知数の力。

それは恐怖を与える。


「な、何なんだこいつは…!今まで戦った事の無いタイプの敵だ…!」

焦るシゲオ。

しかし、ドローしたカードに笑みを浮かべた。


「このカードで決めるぜ…!!」


 ̄限定100枚しかないSSRのカードが当たった


「どうだ…!?」

ハルキも自分の事のように祈る。

しかし…。


「ミス!」

ジャッジマンのコールは残酷なものだった。

「なん…だと…。」

切り札のカードに絶望するシゲオ。

膝から崩れ落ちる姿は虚しく、タクトは目を背けざるを得なかった。


「限定SSRなんてすごいやんか!よかったな!ええ思い出やんか!」

煽るように両手を広げ嘲笑いながら挑発する。

その光景を見たハルキは、

「これ以上シゲオ先輩をバカにするんじゃねぇ!」


「ダメージを与えてから言ってもらわんと何の説得力も無いよ〜。名無しの一年君。」

「くそっ…!頑張ってください…!!シゲオ先輩!!」


「あぁ…!俺は負けないよハルキ…!」

何とか立ち上がり、笑みを浮かべる。

「ええなぁ…!えぇ先輩やんか…!でも…じわじわと削っても可哀想やからこれで終わらしたげるわ!」


 ̄LPR-4649所持


「クリティカル!5000ポイント!」


「え…。」

唐突の大ダメージに理解が追いつかないタクト。


「完敗だ…。」

空を見上げるように倒れ込むシゲオ。


「フッ…今日も楽しんでるね、タイラ。」

謎の男は笑う…。


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る