第9話「最強集団」
翌日。
初戦を突破した者。
敗退した者。
校内は混沌と化していた。
タクトのクラスメイトからも多数の欠席者が出ている。
上級生からの洗礼に耐えることが出来ず、志半ばで涙を飲んだ。
昼休み。
いつものようにハルキと食堂でパンを買おうとすると皆は一斉にタクトの方を見た。
「あいつが…。」
「あのヨシカゲを倒した奴か…。」
獲物を狩る獣の様な眼光。
一夜にしてダークホースとなったタクト。
「1回戦を突破した人達ばっかりだ…。気をつけろよタクト。」
心配するハルキ。
「あぁ…。こうなった以上は勝ち進むしか無いみたいだな…。」
タクトは唐揚げ棒を頬張りながら周囲を見渡す。
親友であるハルキの心にも熱い炎は燃えていた。
「俺も…負けてられねぇ…。」
心の中でそう呟きながら、アメリカンドッグを平らげた。
休み時間や昼食、時には授業中や部活中。
メモリストが蔓延る校内は思い出作りに没頭する者ばかりであった。
自らのカードを強くするために。
それが良い思い出だろうと…
悪い思い出になろうと…。
黒歴史を省みないとする猛者達もいた。
そして、放課後。
2回戦が始まろうとするタイミングで、残った者達は体育館へ集められた。
熱気漂う空間で主催の校長が登壇した。
「えぇ〜。1回戦突破おめでとうございます。弱者はふるいにかけられ、強き者達が残った。その事実に私は嬉しく思います。」
挨拶よりも2回戦開幕の宣言を欲する生徒達。
フラストレーションが溜まる中、
「お気づきの方もいらっしゃると思いますが、2回戦からはシード権を得た生徒達が参加します。それが…この方達です…!」
舞台袖からゆっくりと歩いてくるオーラを放った者達。
1年であるタクトとハルキもそのオーラに心打たれようとしていた。
「そう…!これが我が校屈指のの10人のメモリスト…!「レクエルド」です!」
レクエルド。
10人からなる精鋭達。
学校から選ばれた最強のメンバー。
超高校級の猛者が集まる最強集団である。
ざわつき始める生徒達。
「おい…!あの人、サッカー部キャプテンの…!!」
「あっちには野球部のエースもいるぞ…!!」
校内中に轟く名前の知れた存在が10人。
恐怖する者、萎縮する者…。
しかし、その中でも笑う者が…
「ふふ、僕を倒そうと必死だね…!」
続く
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