第7話「ボルテージ」

 ̄全国模試3位


「2100ポイント…!」


静寂。

場にいる者は圧倒され、言葉を失った。

あまりにも大きすぎるダメージ量とその内容に沈黙した。


「ちょっとやりすぎたかな?」


その言葉を皮切りに観客のボルテージはMAXになる。

「うおおおおお!!!!」

「すげええええ!!!!」

「あんなダメージ量見た事ねぇ!!」


鳴り止まない歓声に場は包まれる。

やまない書記コール。

「書記!書記!」


「くそっ強すぎる…!!てか何で役職でコールするんだ…!!ヨシカゲでいいだろ…!!」

片膝をつきながら何とか立ち上がる。


「大丈夫かよ…!タクト…!」

観客の中1人心配するハルキ。

その声は他の書記コールに掻き消される。

届かない思いに歯を食いしばる。


「それにしても…このポイント差はどうしたら覆るんだ…。」

残り4800ポイントあるヨシカゲに対し、タクトは2900ポイント。

1ターンで絶望的な点差が開いた。


「この中で使える手札は…無いな。どれもあの人達に取ってはまるで通用しない…!」

そう、タクトの手札は壊滅的だった。


英語のテストで98点。

期末テストが学年で総合35位。

文化祭の時に片思いの子と手が触れた。


どれも3年の生徒会書記に対応出来るカードではない…。

次のカードに賭けるしかない…!!

そう覚悟を決めたタクトが引いたカード。

それは…


「ま、まじかよ…。」

落胆。

しかし、それ以外に出せるカードは無かった。

敗北を覚悟しながらたった一枚のカードを出した。


 ̄幼稚園のお芋掘りで1番大きいのを掘った。


「…。」

沈黙するジャッジマン。

唖然とする観客。


そして…。

絶望するヨシカゲ。


「2700ポイント!!!」


「え…。」


「よしっ!!」

静寂する観客の中1人立ち上がりガッツポーズをするハルキ。

沈黙を破る、


「うおおお!!!すげええ!!」

「てか何でだ!?ただの幼稚園の思い出じゃないか…!?」


理解できない一同。

ジャッジマンが説明した。

「ヨシカゲ選手は幼少期から私立幼稚園からエスカレーター進学をしているため、泥臭い思い出が存在しない、及び羨望!!」


エリートコースが故の庶民への憧れ。

彼の人生は泥にまみれていない…。


「ふっ…!たかがこんなことで…!!」


続く

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