ふぞろひ 🧵

上月くるを

ふぞろひ 🧵



霜月や肘ひき寄せて伸ばす肩

不揃ひの縫目の布や冬ぬくし


身を屈めブーツの紐をしめる指

腹までのレギンスぬくし春遠し


斜め掛バッグもたつく初コート

枯むぐら言葉に代へて影を踏む


おほごとに思へしことも冬雲雀

五人来てひとりスマホや暖房音


枯羊歯や見知らぬひとに評さるる

枯芭蕉いつそ食べずに生きやうか


丁寧に記す手帳や一葉忌

冷凍に茸の繊維壊しけり


笹鳴きや生者必衰薩摩琵琶

竈猫竈捨てても捨てずとも


短日のめがねのくもりざつと拭く

茶の花や世慣れたご仁だらけの世


室咲や病みの絵日記十一冊目

いつの間に蕾をつけし室の花


蝦蛄仙人掌やめるのはやめ白髪染

星凍り椅子になりたき夜更けかな




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