不世出のライフ

どちざめ2号

序章ー第0話 観測者より愛を込めてプロローグを

注意書き


この世界〈レーヴェルト〉には純粋なホモサピエンスは存在しません。


根本から種が違う為、現存するホモサピエンスの皆様の常識・倫理観が適応されない場合がございます。


またこの物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。


尚、警告を受け入れず閲覧した場合の苦情等には応じかねます。ご了承下さい。

よろしくお願い致します。


ーーーレーヴェルトの観察者より愛を込めて

代筆 作者







プロローグ 星座


0.


くらいくらいよぞらのした

少年カルナは涙を流します


青い美しい雫が落ちました

ぽろりぽろりと落ちました


ーねぇどうしてないているの?


星の子が尋ねました


ーひとりぼっちが寂しくて

 くらやみが怖くて

 だから泣いているの


カルナは泣きながら答えました

星の子はちょっぴり考えたあと


ーなら一緒に夜明けを目指そう?


その言葉にカルナは頷きました

ふたりは友達になりました


こうしてふたりは夜明けを目指す

旅に出たのです


繋いだ手を離さないよう

しっかり握って


ずっと一緒にいれると信じて


ーーーーー


長い長い物語の結末に子ども達は非難の声を上げた。それはもう激しく声を上げた。


「どうしてお別れしなきゃいけなかったの!!」とひとりが突っ込む。


「うーん、あそこまで盛り上げてコレはないよね」と利発そうな子は残念そうに言った。


「正直、期待外れな終わりね…せめて演出凝って欲しいわ」とつまらなそうに一人は言う。


「これはヒドイな兄弟」と双子の片割れが言った。


「これはクソだぞ兄弟」と双子の片割れが返す。


一部の変質者や捻くれ者を除けば、誰だって物語は幸福な終わりを望む。


例に漏れず、子ども達はそれを望んでいた。


それは物語のふたりの旅路が心躍る苦難と冒険、愛に満ちていたからかも知れない。或いは物語の浪漫に自分を重ねていたのかも知れない。

遂には憤りを見せる子、ぐずぐずと泣きじゃくる子が現れた。


語り部は心底、困ったと言いたげに唸り声を上げる。この物語はこの大陸において5本の指に入る程に有名で長い間、語り継がれてきたものだった。何度も何度も語ってきた物語にこの様な反応が帰って来たのは初めてだった。


「そんな事を言われても…」


伝統を守り、語り継いできた事に語り部は誇りを持っていた。だが、世代の差というのはどうしてもある。収まらない混沌に語り部は完全に参ってしまった。保護者が居ない今、宥める者が存在しないのだ。


「ぼくたちがお話しの続き作ればいいとおもう」


そんな中、1番幼い子どもが言った言葉にその場にいる全員が驚いた。


「物語は誰かが作って初めてはじまるんでしょう?お星さまのお話もそうだったんでしょう?」


その言葉に全員、語り部すらも顔を合わせて頷いた。


こうして新しく紡がれた物語はーーーーー


例えそれが、星の光のように淡く存在が不確かでも繋ぎ合わせれば確かな物語は産まれるのだ。


そんなよくある日の話。

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