「ドンとペロの物語」

perchin

ドンとペロの物語

むかしむかし、ドンという名前のタヌキと、ペロという名前のキツネがいました。

二匹はいつも一緒にいました。

ある日、二匹は森の中で一匹のウサギを見つけました。

「あんなおいしそうなウサギ、捕まえない手はないね!」

ドンがそう言うと、ペロはにんまり笑って頷きました。

二匹は力を合わせてウサギを追い詰め、ついに捕まえることに成功しました。

「さあ、どうやって食べようか」

ドンがよだれを垂らしながら言うと、ペロは言いました。

「ドン、君はお腹が空いているだろう? このウサギは君が食べていいよ」

ドンはペロの言葉に大喜びしました。

「ありがとう、ペロ! 君はいつも優しいね!」

ドンはペロに感謝しながら、おいしそうなウサギをペロリと平らげました。

それからというもの、ペロはいつもドンに獲物を譲りました。

ドンは日に日に丸々太っていきました。

一方、ペロはというと、いつも少ししか食べずに、ドンが食べ残した骨や皮を食べるだけでした。

それでもペロはいつも笑顔でした。

「ドンが満足してくれるなら、それでいいんだ」

ペロはそう思っていました。

月日は流れ、ドンはすっかり太って、歩くのもやっとという体になってしまいました。

遠くで子ウサギが跳ねていました。

「食べるには早いかな」

ドンはつぶやきました。

ペロはドンを見て言いました。

「 肉づくもいいし、毛並みもツヤツヤで、今が一番食べ頃だよ」

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