第2話 自覚

俺は16歳の高校生、念願の難関高校に入れたばっかだった。ラッキーな方向に歩み出ているように見えるだろう?でも、今俺は


死んでる


そう、その死だ。今さっき自分が死んだんだと自覚した。俺は、信号無視のトラックに引かれて死んだらしい。自分の死体が足元にあるところで事態を見守っている。警察は身元確認を急いでいるし、救急員の人たちはもう再生を諦めている。


別に俺は、そこまでこの世に未練はない。母は、俺が小さい頃、病死したため、父しかいないが、そのろくでなしの父は、俺を空気のように扱い、若い女と遊んでた。俺を唯一見てくれたのは、母の姉、俺のおばさんだ。でも、高校に受かったあと、母と同じく病死してしまった。俺は、世で言う陰キャなため、特別に友達もいなかったし、もちろん彼女もいなかった。


今、ここでも魂が残っているのに不思議を感じながら、世界を見回している。俺は、何もかもすり抜けれるようになっているみたいだ。生きていたときよりも自由を感じて、心地が良い。


一番気になるのが、人が俺を見えるかどうかだ。空を飛んでも、他に俺のようなやつはいないし、ほとんどの人は俺が見えないが。なんとなく霊感がある人は、何かを感じれるみたいだ。これでいたずらし放題、何もかも捨ててるし、何をしてもいいだろ、と俺は次第に投げやりになってきた。

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