第13話 体育祭②
更新遅れました...すみません
体育祭ミニエピソードコーナー
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〈カメラと緩井さん〉
「はぁ、玉入れ...やだなぁ」
玉入れの位置につきながら、レナはため息を付いてそう言った。
「まぁまぁ。テンション上げてこうぜ!」
そう言うのは恭平だ。どこから持ってきたのかサングラスをかけてノリノリに決めている。
「恭平さんもテンション高いですよね...沙也加さんや大河さんほどじゃないけれど。陰キャには刺激が強すぎます」
「まあ、そう言うなって」
そんなことを言っていると、何やら観客席の方からざわざわと声が聞こえてきた。
「何だ?まだ玉入れは始まってないぞ」
そう不思議そうに言う恭平とともに、レナも声のする方を見る。すると、そこには頭を抱えたくなるような光景があった。
「緩井さん...何なんですか、その馬鹿みたいにでかいカメラは...」
観客席の最前列。そこに、テレビの撮影で使うようなゴツいカメラを肩に抱えた緩井さんが、レナの方にピントを合わせてスタンバっていた。メイド服姿なのも相まって、余計に注目を集めている。
レナは必死でそのカメラをしまうようにとジェスチャーをするが、何を勘違いしたのか緩井さんはどこからともなく更に大きなカメラを取り出す。
「玉入れが始まります。皆さん、位置についてください」
レナの一番キライな注目を集めながら、玉入れは始まっていくのだった。
〈借り物競走〉
「位置について...スタート!」
合図とともにみんなが一斉に走り出していく。レナも一緒に走り出すが、いかんせん運動音痴なもので周りからの差はどんどん開いていく。
「はぁはぁはぁ」
しかし、これは借り物競争。徒競走やリレーとは違って必ずチェックポイントで止まってお題の札をめくらなければならない。レナもチェックポイントについて、急いで札をめくる。
「お題は...体育会系の人」
お題を読んだ瞬間浮かぶ顔があった。急いで観客席の方へ走って大河の顔を探す。大河は応援団顔負けの声で応援をしていたのですぐにわかった。
「あの...ちょっときてくれない?」
「何だ?何のお題だ?」
レナにそう聞く大河。
「あの、体育会系の人ってお題。今急いだら1位なれるから、急いで!」
「よっしゃ、わかった!」
そう言って二人は走り出す。観客席からわぁわぁと声が聞こえてくるが、それも気にせずに走り続ける。しかし、レナの運動音痴がたたってしまい、ゴールに着いたときにはすでに二人の人物がいた。
「ごめん...遅くなっちゃって」
「大丈夫!まだ2位だしな!」
しかし、ゴールにいる二人の人物を見るととても見覚えのある人物だった。なんとそこにいたのは緩井さんと琴葉。そして二人ともゆうゆうとゴールをくぐっていく。
「えっなんで!?」
「おい、まじかよ」
レナと大河は驚きながらも一応ゴールをくぐる。そしてゴール後の1位のフラッグのところに立っている琴葉と緩井さんのところへ行く。
「琴葉さん...お題は何だったんですか?」
「私のお題、ラッキーなことにメイドさんだったのよ。さっきの玉入れでいることはわかってたからすぐに借りれたわ」
「...そのお題書いた人は本当にメイドさんがいると思ってたんですかね」
「私もそうは思えません。レナ様」
緩井さんもそう同意する。
「ところで私も気になってることがあるんだけれど、なんで大河くんそんなに必死だったの」
「なんでだ?体育祭で必死に全力でやるのは良いことだろ?」
不思議そうに聞く大河に、琴葉も不思議そうに聞き返す。
「だって、大河くんとレナさんって敵チームじゃない。走ってる途中も観客席からすごい言われてたわよ」
「あっ」
「...」
場に流れる気まずい沈黙。そんな彼らをよそにスピーカーからは「結果発表の時間です」と言うアナウンスが流れていた。
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