今でも前世でも、絆はこの胸の中にある。

 剣道に打ち込む男子中学生の主人公は大会で、まさに決勝戦に望もうとしていた。しかしそこに魔物の急襲の連絡が入る。そして決勝戦の相手と主人公の兄が会場から消えた。その後を追って魔物のもとに向かうと、兄が討伐隊として魔物と戦う姿があった。そして決勝で戦うはずだった相手も、魔物を倒していた。
 討伐隊とは、元服した者だけで構成されるものだ。この元服を受けるには前世の記憶と神様が鍵となっているらしい。主人公もこの日以来、自分の記憶とは違う記憶が混じり込む現象が起き始める。討伐隊に憧れる人も多いが、主人公は自信がない。
 その一方で主人公は悩みながらも、前世の記憶はどうやら壇ノ浦で散った平氏と、それを滅ぼした源氏の誰かのものらしいと気付き始める。
 そして主人公は、既に討伐隊に入っていた兄の想いを知ることになる。

 相容れぬ源氏と平氏が、前世の記憶をたどって相まみえる。
 果たして主人公の前世とは誰なのか?
 兄や同級生、そして決勝の相手の前世は、敵? それとも味方?
 主人公の選択はいかに?

 広島弁が心地よく、リズミカルな会話文が特徴的。誰が誰の前世なのかを考えながら楽しめる謎解き要素もあり、また、交錯する人間関係に読みごたえもあります。主人公を取り巻く人々の想いに、心打たれる一作でした。

 是非、ご一読下さい。

その他のおすすめレビュー

夷也荊さんの他のおすすめレビュー1,383