記憶を巡る『平安』物語
はる❀
平安時代末期
第零話 壇ノ浦の戦いから始まる物語
【声劇】第零話・壇ノ浦の戦い
https://youtu.be/v9W1iqssfTM?si=uj0xRVee_BUU_tCs
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……
- 西暦1185年3月24日 平安時代末期 …… 壇ノ浦 -
「もはや、これまでか」
長い源平合戦が終局を迎える。平家はここ、壇ノ浦で敗れるのだ。
私……
「新中納言殿。何をしておいでですか」
「見苦しいものはすべて海の中へお投げ入れください」
「戦の、様子は」
「はは、珍しい
「何を……御冗談を」
安徳天皇を見る。彼はまだ八つ。あまりに幼い崩御である。
幼い彼は祖母・二位尼に抱かれながら最期の時を彼女に尋ねる。
「どこへゆくのですか」
「……波の下にも、極楽浄土と呼ばれる素晴らしい都が御座います。そこへ、お連れするのですよ」
死期と知り、涙ながらに答える二位尼の言葉を、どれほど理解できたのだろう。幼い彼は、伊勢神宮の方へ頭を下げ、西方浄土のある西へ手を合わせると、二位尼に抱かれたまま海の中へ消えてゆく。
……これで、終わりだ。
「新中納言殿」
そう、声をかけるのは
「見届けるべきことはすべて見届けた。 このあと、何を期待することがあろうか」
……
「逝くぞ」
浮き上がらぬようにと鎧二枚を羽織り、家長と共に
これで、いいのだ。
源義経。我ら平家一門を滅亡へ追い込んだ、あの者は。
……思う所は色々とあるが、もう多くは語るまい。
……
だんだんと海面が遠くなる。息が、できない。
意識が、薄れていく。
すべてが、終わり、なのだ
……
『平殿』
……?
『おーい、平知盛どのー』
……誰だ
『お、まだ意識があった。まぁこの際誰でもえかろう、そんなこまいこと。この戦い、始終見届けたぞ』
……なんと大雑把な。私はこの期に及んで夢でも見ているのか。
だが、この声は誰なのだ
『この世に、未練は』
私だけ生き延びても意味がなかろう
『ほぉ。潔いな』
一族は……ここで皆、共に滅びるのだ
『海に生きた平家一門が海に没するとはな』
……
『この、瀬戸の
……ふぁん、た……なんだって?
『ファンタジー。つまり空想世界じゃな。崩壊と再生を繰り返した先に、今のこの時代と似た世界があるんだと。次はその世界へ生まれ落つる可能性が高いようじゃよ。じゃけぇそぉじゃな……そこでの貴殿の氏は【伊月】でええかの。俺がお主だと、分かるように』
……ええかの、と言われても
『ははっ、決まりじゃな。そう、伝えておくけん。この世界じゃ俺にもできることが限られとるけど、その特殊な世界ならまた別かもの。まぁお主も新たに生を受けたからと言うて今の記憶が残っとるとも、家族兄弟近しい者がまた一緒になるとも限らんがな。
……じゃあの、知盛殿。そろそろ時間じゃ。今度はきちんと人の姿で会いに行くけん。ゆるりとお休みよ』
……
…
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こんにちは!はる❀です。
この度は本作をお手に取って下さり誠にありがとうございます!
本作は歴史を交えたお話ではありますが、次話から舞台は現代へと移っていき、ファンタジー色の強い物語となっていきます。歴史にお詳しい方も、そうでない方も、ぜひお気軽にお楽しみいただけましたら嬉しく思います!
また下のURLでは、本作に登場いたします現代でのキャラクターたちが喋り、この作品について簡単に紹介しておりますので、こちらもぜひ併せてご覧ください✿
きっと、よりお楽しみいただけるかと思います^^
(※此方に出てくる『
作品紹介動画(キャラクターが喋ります)はこちら⇩
https://youtube.com/shorts/wQJjVc6XPq8?si=PxYURqYXQw-tAJsB
また冒頭にあります、第零話声劇版も、ぜひお楽しみいただけましたら幸いです❀
今後とも、何卒よろしくお願いいたします!
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