第四章:G.G.B.の誓い

 なぜ、職猟協会が、我ら歩荷の設置を義務として、規約に厳しく定めているか、深く考えたことがあるか?


 狩猟者〜狩猟隊に対して『一人以上』。

 狩猟群〜狩猟団であれば『二人以上』。

 狩猟軍では『四人以上』。


 気づいただろうか。

 組織が大きくなり、戦闘員の数が増えれば増えるほど、戦闘員に対する歩荷の配置基準は上がっていくのだ。

 これは、戦いが大規模化・複雑化するほど、『個の武力』よりも『組織の補給ロジスティクス』こそが、勝敗と生還を分けるという、揺るぎない『歴史の真実』の証明である。

 兵站を軽んじた軍隊が、砂漠でいかに悲惨な末路を辿ったか、オアシスの歴史書を紐解けばすぐにわかるだろう。 


 我ら歩荷隊G.G.B.は、狩猟団の『土台』である。土台が崩れれば、その上の全てが崩れる。

 我らは狩猟団の『胃袋』である。胃袋が尽きれば、手足は動かなくなる。

 我らは狩猟団の『生命線』である。我らが断たれれば、あとは死あるのみ。


 職猟者が、人々の賞賛を浴びる『花形』であるならば、我らは『根』だ。

 『花』は、自分たちの力だけで咲いていると、時折勘違いをする。だが、我ら『根』が、泥臭く大地に張り付き、水や養分を吸い上げてやらねば、『花』は一日と咲き誇ることはできない。


 我らが『背負子バックパック』を放棄した時、それは狩猟団の敗北を意味する。

 それが、我らに課せられた『義務』の重さだ。

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