第2話 あかいてがみ
今しがた帰ってきました。
私のもとにその手紙が届いたのは今日の午後二時過ぎです。私は一読してもう絶句しました。二の句がないところまでいきませんでした。息をのんだまま、ぽたりと汗が一つ手紙に落ちて、それで自分の額や顔や肩や背中から汗があふれていることに気づきました。それから凍えている腹を感じました。震えだしていました。
手紙の三分の一くらいには黒ずんだ赤が飛び散っていました。絵具をつけた筆を振ったかのようですが、どうもそんなアクティビティではなさそうです。頭に浮かんだのはティッシュでした。先日、ごく久しぶりに鼻血を出していしました。すぐに止まったのですが、どうも慌てていたのでしょうか、数日して掃除をしようとゴミ箱を持ち上げた所壁との間にティッシュが落ちていました。私の鼻血で点々と赤茶けたティッシュでした。私は手紙を落としました。額と頬の汗を袖で拭いました。私はオロオロしていました。スマホをバッグから取り出してタップしようとしました。指が震え続けてできませんでした。私はへたりこんでしまいました。
ふと時計を見ると、30分ほどが流れていました。私はビニル手袋をキッチンから取って来て、さらには未使用の割り箸を探しました。バッグからマスクを取り出して付けました。手袋を付けました。割り箸を割りました。割り箸でつまんだ手紙をビニル袋に入れました。手袋を取るとスマホを動かしました。今度はどうにか番号を押せました。私は電話の向こうの声にすがるように従いました。
担当の警察官はとても親身に聞いてくれたおかげで私はどうにか帰ってこられました。
手紙を送って来たのは、○○でした。
青い瞳 金子よしふみ @fmy-knk_03_21
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