この景色を君と見るまで私は待つ

この景色を君に。

ずっと君と一緒にいたい。

それって簡単なお願いのようなのに

どうして叶わないんだろう？

神様、私はなにかした？

それともそういう運命なの？

出会いは本当にありきたりだった。

ただ学校が一緒で

クラスが一緒で

いつのまにか席が近くて

話すうちに好きになって。

本当にただそれだけだった。

好きになって追いかけて

君を知りたいという欲が

あらわになって。

でも君はそれに応じてくれた。

君は私の気持ちに応えてくれた。

幸せだったな。

叶うと思ってなかったから。

でもその幸せが

長く続くわけなんてなかったんだね。

君のせいだと言いたいけど

君は悪くないし

だからといってあの子も悪くない。

全部、運命が重なって起こっただけ。

ただそれだけのはずなのに。

どうして君はいなくなってしまったの？

あの日に消えるとわかっていれば

さよならくらいはできたのかな。

でもあんな未来が予測できたら

君のこと好きになってないよね。

好きになっていたとしても

別れが来るから、といって

諦めていたと思うな。

桜散るあの日、君は小さな女の子を助けた。

助けたのはよかったんだ。

だけど君は助からなかったね。

もう救急車が現場についたとき

君はもう息をしていなかったね。

何を思って助けたの？

って聞きたいけど

君は絶対こう答えるよね。

"体が勝手に動いただけ"って。

ずっとそういう人だった。

ずっとそういうところが好きだった。

この死は後悔してはいけないって

理解してるの

わかってるの。

それでも私は君がいなくなることを

どうしても信じられないんだ。

君だって死にたくて死んだわけじゃないけど

私は君が死んだことを悔やんでいる。

ダメだってわかってても

そのくらい私にとっては重かった。

今ね、すごい綺麗な夕焼け。

あの日の桜より綺麗。

ねえ、あのさ。

私、君とこの景色が見たかった。

今度また君とこの景色を

見るために

私はまた生まれ変わる。

だから待ってて。

また会う日まで。