第2話 明日消える友達

 霧かな……周りが白い


 いつもの学校帰り


 同じ昨日で

 同じ今日

 同じ明日は、どこなんだろう


 まだ学生の僕は

 少しだけ違う時間が、欲しいと願ってた


 きっと退屈で、少し幸せで、たぶん贅沢なんだろう



 白い霧から、急に男が産まれた。


「よお、いま帰りか?」

 ああ、たぶん友人が声をかけた。


「あれ?……そうだった?」

 この友人が、友だちだったのは覚えてるよ


 だったら、友人の友達の僕は誰なんだろう?


「……ねえ、僕はぼくなの?」

 頭がうまく動かないな。

 でも大丈夫。君が親友なのは分かるよ。


「ああ、俺の友達だ」


「ふーん。なにか泣いていない?」


「いや、気のせいさ」


「……頼りないかも、知れな…いけど相談……に乗るよ」

 なにか眠いね。昨日は、ゲームをやり過ぎた気がするよ


「ありがとう……」

 友人の声が聞こえて……やっぱり泣いてる


 僕は、頼りな…いからね

 もっ…と、強くなって……信頼されな…いとな


 ボスッ


 なにか……音が聞こえて……僕は眠りについた


「……処理完了」


 やり切れない。

 まだ人間のうちに、終わらせられた事は幸運だったのだろうか?


 ただ、分かったのは……明日友達になれる筈だった友人が消えた事だけだ。


 

 

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