デスゲーム ~赤羽中学2年B組、学校を舞台に殺し合う~
十文字ナナメ
プロローグ 死神の鎌
額を撃ち抜かれた
しんと静まり返った教室は、濃密な緊張感に支配されている。今しがた起こった出来事が信じられず、クラスメイトたちはみな一様に目を見開き茫然とするばかりだった。
「今一度申し上げますが」
抑揚のない男の声。教卓には、手に銃を持ったスーツ姿の男が立っていた。ことりとその銃を卓上に置いて、教室中の視線が集まるのを冷静に待っている。
一度眼鏡のブリッジに中指をやって、かけ具合を微調整してから男は言った。
「皆さんには殺し合いをしてもらいます」
それを聞いた瞬間、
すぐ隣の席では、
自分たちは巻き込まれてしまった、と悠希は理解した。この理不尽な死のゲームに。何の前触れもなく、突然にして。
男の言った言葉が、今は確かな現実味を帯びて迫ってくる。これはテレビや映画の中の話ではない。紛れもなく実際の出来事として、自分たちの身に振りかかっているのだ。
飛び散った脳漿。じわりと広がっていく硝煙の臭い――。何もかもが混沌としていて、油断すれば魂を引き抜かれてしまうそうになる。
まるで死神の鎌が、すぐ目の前まで迫ってきているかのような圧迫感を、悠希は覚えた。
どうしてこんなことになってしまったのか……。つい30分ほど前までは、牧歌的とも言えるような朝の学校風景だったはずだ。
悠希は現状の悲惨さ、凄惨さから逃れたい一心で、HR前の時間へと精神を逃避させた。まだ眼鏡の男――
そこではクラス委員長の松尾裕香もまだ生きていて。悠希は仲のいい同級生たちとともに、他愛のない談笑をしているのだった――。
【残り 34人】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます