第2話
「アイスいーなー」
その声に振り向くと
白い髪色、緩めのパーマに長めの前髪をセンターパートにした男の子が
ふわりと微笑んでこちらを見ていた。
「優じゃん!久しぶりだねぇ!
大和はどうしたの?」
「電話しに行ったよ」
話し出した2人を眺めながら、アイスを一口齧った。
ん、うまー。
「壱華、この白いのは優っていうの。
私と大和の中学からの友達!
優、この子は壱華。
高校入ってからできた自慢の親友!
今は勉強教えてもらってたんだ〜」
優しいでしょ!っと
満足気に語り、桃のアイスを頬張る。
「樗 優(おうち ゆう)です。
よろしくね、イチカちゃん。」
「久住 壱華(くずみ いちか)です。」
また、ふわっと笑ってくれたので
こちらも自然と笑顔になった。
ちょうど電話を終えた大和くんも戻ってきたので
自然と4人で話す流れになった。
話は主に3人の中学時代のことで、自分の身の回りでは起こりえなかった内容が多くて
聞いてるのは結構面白かった。
「イチカちゃんのスイカいいな。
一口ちょうだい?」
不意に優くんに覗き込まれた私は驚いた。
瞳が琥珀色だ。
「こんなでよければどーぞ」
残り数口で食べ終わりそうなアイスは
溶けかけてポタポタ雫が落ちている。
持ちやすいよう差し出すと
優くんは受け取らず、そのままパクリと食べた。
「「「「あ、」」」」
食べた瞬間、溶けかけのアイスは
脆くも棒から崩れ、アスファルトに落ちた。
「…、ごめん。」
「っ、んふっ」
地面のアイスを見ながら、ものすごく悲しそうな顔をして謝った優くんが
おかしくって、私は思わず吹き出した。
釣られて茉莉花と大和くんも笑い出し
申し訳なさそうな顔ではあったが
優くんも笑ってしまってた。
そんなこんなで気付いたら
部屋を出てから1時間程経っており
私と茉莉花は勉強に戻る為解散した。
茉莉花の部屋に戻ってからは
更に2時間程勉強をして
私は茉莉花の家を出て、帰路についた。
繁華街とは少し外れた場所から
駅に向かうにつれて増える、すれ違う人たちの雰囲気から
繁華街の喧騒に近づいてるように感じる。
本格的な夜の雰囲気を纏うその世界観が
少し怖いと思った私は
早足で駅の改札を潜った。
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