二代目マサカリ投法者は、プロ一年目の高校一年生
kakuyoku
プロローグ
ー 神奈川県川崎市川崎球場 18時44分 ー
1988年(昭和63年)10月19日の水曜日、川崎球場は観客満員で、盛り上がっていた。
観客席には、仕事帰りのサラリーマンたちも多数、観戦している。
この日、パ・リーグのロッテ・オリオンズと近鉄・バファローズはダブル・ヘッダーという組み合わせで対戦していた。
昼間のデー・ゲームで行われた第一試合は、近鉄の勝利に終わった。
そして、二試合目も近鉄は勝利を掴む気でいた。
何故ならば、近鉄はロッテとのダブル・ヘッダーで連勝すれば、8年ぶりのパ・リーグ優勝が決まるからだ。
第一試合は、近鉄の左のエースである阿波野秀幸(あわの ひであき)投手がプロ入り後初のリリーフで登板して、4ー3で逃げ切って勝利した。
だが、近鉄の仰木彬(おおぎ あきら)監督やコーチたち、そして選手たちは必ず勝つという決意だけでなく、特に第二試合目は楽観視をしていなかった。
それは、これからロッテのマウンドに登板するピッチャーがプロ一年目の新人とは言え手強いピッチャーだからだ。
そんな中、ウグイス嬢のアナウンスが球場全体に響いた。
『ロッテ・オリオンズの先発ピッチャー、村田兆志(むらた ちょうじ)。背番号29。』
ウグイス嬢のアナウンスが言い終わった直後、ロッテ・オリオンズファンの観客席を中心に歓声が沸き上がった。
直後、その人物は、マサカリ投法で有名な村田兆治(むらた ちょうじ)とは一字違いだが村田投手と同じ背番号『29』をユニフォームに纒った中、マウンドに向かっていた。
マウンドに到着した『彼』こと村田兆志は、片ひざを地について左手をマウンドのプレートに添えて短いお祈りをした。
兆志のするその行為は日常的だったから、誰も気にしていなかった。
短い祈りを終えた兆志は、マウンドに立つと相棒であるキャッチャーの袴田 英利(はかまだ ひでとし)捕手に顔を向けた。
袴田は、そんな兆志に対してキャッチャーミットを構えた。
『兆志、今、構えているここに向けて投げろっ!!』
兆志は、袴田がそんな風に言っているのを確信していた。
そして、兆志はピッチング練習を始めた。
右足を地面と水平に高く振り上げ、大きく踏み込んでから、豪快に左腕を振り下ろして球を投げた。
その投球フォームは、村田兆治と同じ『マサカリ投法』と同じだった。
ただ、違うのは、村田兆治は右投げに対して兆志は左投げだった。
直後、兆志の投げた球は凄まじい速さで袴田のキャッチャーミットに吸い込まれるように収まった。
その時、キャッチャーミットの捕球音が球場内に響くかのような音がした。
そして、球場のスコアボードに今の兆志が投げた球の速度が表示された。
その速度は、『155km/h』。
この速度表示を見た人たちからは、再び、大歓声が沸き上がった。
この日、プロ野球界の歴史に刻まれる試合が始まろうとしていた。
そして、この試合は近鉄の8年ぶりのパ・リーグ優勝が掛かっているだけでなく、兆志自身の幾つもの日本新記録が掛かっていた・・・。
そして、兆志の家族、親戚、チームメイト、世間の人たちは知らない。
マウンドにいる村田兆志がタイムリープによる転生者で、タイムリープ前の記憶を持っていることを・・・。
マウンドにいる兆志は、タイムリープ前の2025年(令和17年)12月に自宅で一人寂しく孤独死していた・・・。
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こんばんは、kakuyokuです。
今回、自分が幼い頃にファンだったロッテ・オリオンズの村田兆治さんの『マサカリ投法』を思い出して、今回の作品を執筆しました。
前世から記憶を持ったままタイムリープして、村田投手のマサカリ投法をするピッチャーがいたらとして考えました。
また、昔、コロコロコミックで連載していた天才小学生少年ピッチャーが活躍する『巨人くん』もヒントになりました😀
プロ野球の歴史に食い違いや、疑問があると思いますが、突っ込みやご指摘は御了承下さいm(_ _)m
現在、執筆し直している『蒼天の艦隊』もあるので、しばらくは不定期になります。
読んで頂ければ、幸いです<(_ _)>
二代目マサカリ投法者は、プロ一年目の高校一年生 kakuyoku @kakuyoku-no-tate
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