彷徨いと小さな紅葉

綾織

母は死んだ

物心ついたときから私には、おおよそ『おかあさん』と呼べる存在は居なかった。

今では考えられないかもしれないが、幼稚園バスを降り自分で鍵を開け家にあるおやつを探して食べる、そんな生活を3歳からしていた。

一緒に暮らしていたのは父、父方の祖母である。

父は朝早くから夜遅くまで仕事で家にほぼおらず顔を合わせる機会もほとんどないのが最早当たり前になっていた。

祖母は敷地内にある小屋で内職をしていた。

敷地内にあろうと母屋まで距離はないのに迎えに来ることはおろか様子を見に来ることすらなかった。


テレビが友達で、夏は暑いので扇風機をつけては『あ゛ーーーーーーーー』と遊び、冬は寒いのでこたつがないなりにとホットカーペットのスイッチをいれて毛布をかけて寒さをしのいだ。


当時、朝御飯は無く夕食は父の帰りを待ち20時過ぎが当たり前であった。

したがって、3歳の頃から12時過ぎまで起きてるのが当たり前だった。


これが私の生い立ち


これだけでは伝えきれないのでもう少し、わたしの日常を綴ろうと思う。

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