帰り道がわからない

@Shaxxcky

御茶ノ水


19歳の私の話をしよう。

私は建築の専門学校に通いインテリアについて学んでいた

隣の席の女の子が突発性難聴になり暫く入院して学校を休む事になっていたので専門学校の仲間たち数名と東京の御茶ノ水にある大きな病院にお見舞いに行っていたのだ。

私は彼女のためにクロスワードと若い女の子が好きそうな雑誌を買っていった。


御茶ノ水駅から病院に向かうまでに楽器屋さんが沢山あり、私は何一つ楽器など弾けないのにそれらを見て回り、同じく楽器など弾けない仲間たちと「これはカッコイイしいい音がでる」等と適当なことを言っていた。

友人の涼子は突発性難聴になった女の子とはそれほど仲は良くなかったが、私とはたまに話す程度には仲が良く私は涼子の事が好きだった

彼女は綺麗な茶髪と白い肌を持ち、建築学校では彼女の個性的な色使いや作品と持ち前の勤勉さで成績も良く、何よりかわいい顔をしていたので担任の先生からも気に入られていた。

涼子には仲のいい女の子がクラスに二人いたが、自分が喫煙者であることを彼女たちに黙っていたので私も涼子が喫煙者である事は内緒にしていた。


当時は今のような電子タバコは無く、紙タバコだけだったので吸ってしまうと煙の匂いが服や髪に着いてしまうので涼子が学校でタバコを吸うことは無かったが、私がタバコを吸っているところを良く羨ましそうに見ていた。


病院に付くとあまり愛想がいいとは言えない女性が出迎えてくれて病室の番号を教えてくれた。

病室に行くとパジャマ姿のクラスメイトがいて少し恥ずかしそうにしながら「ありがとう」と言ってクロスワードを受け取った。

病室は4人部屋だったが彼女以外に患者はおらずとても静かなところだった

窓からは緑が見えそれが病院の赤レンガに映えていてまあまあ良い景色で、私はこんなに静かで綺麗な所なら入院するのも悪くないねと言うと彼女は少し笑ってくれた。


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