冤罪によって生まれた振り切れ男
足元に 瀕死の敵が Q3
第1話 幸せ
「姉ちゃん、佐那、行こ!」
高校生にもなって、はしゃいで姉妹の手を引く僕。
「もう!将太ったら!強引ね!でもそんな強引なところが……。将太好きよ♡」
左腕を組んでいるのが
「将太!待ってよ~!」
右手で繋がってるのが
そして、美人な姉妹の間で楽しそうにしているのが僕、
僕は小さいころにお母さんを病気で亡くした。
当初母を亡くした事にワンワンと泣いたが、それも束の間、小学校に上がる前に父は再婚。今のお義母さんと共にこの二人とは家族になった。
最初は知らない子と家族なんて無理だと思っていたが、子供とは不思議でいつの間にか仲良くなり、兄弟として自然に接することできるようになっていた。
今では年頃の男女とは思えないほどベッタリだ。特に姉さん。
そして僕には幼馴染がいる。物心がつく前から何時も一緒で、お母さんが居なくなって、一番辛い時に支えてくれた幼馴染、
昔はリンリンの愛称で呼んでいたが、高校生になった機に呼び方を恋人らしく凛子に変えた。
凛子は名前に似つかず、ふわふわした雰囲気で優しくて秀才で待ちゆく人も振り返るような美少女だった。
それに比べて、何を取っても僕は平凡。そんな凛子に引け目を感じて、告白できずにいた。
凛子とはいつも待ち合わせて学校に行く。だが今日は病院の日、待ち合わせの場所に立ち寄って病院に行こうかな。
待ち合わせの場所に近づく、過ぎ行く人が彼女をちらちらと横目で見るが、彼女は気にも留めない。
声を掛ける前に先に凛子が気づくとパッと表情が明るくなって、手を振ってくれた。
「おはよう!将太~!それと真由美さんとさっちゃんもおはよー!」
「おはよう!凛子」
「おはよ!りんちゃん!」
「ふん!殊勝ね。今日も待ってるだなんて」
「も~ひどいですよ~真由美さん!小さい頃からずっと一緒だったじゃないですか~」
姉さんが中学に上がったぐらいから姉さんは真由美に少しトゲのある言い方をするようになった。
最初は喧嘩でもしたのだろうと思っていたがずっとこの調子だ。もう慣れてしまった。
駅まで歩きながら雑談する。今授業でやってる内容とか他愛もない話だ。
「あ!そう言えばね!私また告白されちゃった///」
「ふ、ふーんそうなんだ…」
凛子は高校入学してからずっとこの調子。でも僕が知ってる限り誰とも付き合ったことがない。今回も断るだろうと高を括っていた。
「今回、バスケ部部長の飯田先輩なんだよ?」
飯田と言えば、イケメンでしかもバスケでスポーツ推薦を貰うほどのスポーツマンだ。でも今まで断ってたんだし、今回も断るよね?
凛子が誰かに靡くわけがないと思いながらも、生唾を飲み込み、冷や汗をかいている。
「あーあいつね?いいじゃない付き合っちゃえば」
姉さんは僕の気持ちを知らずか、凛子を焚きつけている。
「えー?まぁ顔は好みだけど…。ねぇ…?」
凛子は迷っているのか?嘘だろ凛子!そんな君の外見で告白してくるような奴と付き合うぐらいなら…俺と…。
そんな言葉が出かかったが拒絶からの恐れか、臆病風に吹かれ、その言葉を飲み込んだ。
その時ちょうど、通学路と駅への別れ路に差し掛かり、内心穏やかでない状態で駅に向かった。
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