第11話『続く影の落下』
翌日。
訓練場に向かう途中、ガルザスはふと空を見上げた。
「……雲の流れが変だ」
「また大地の勘か?」
ライゼルが笑いながら肩を叩く。
「昨日のアレのせいで、ちょっと敏感なんじゃ──」
言葉の途中で、
バキィッ!!
空に再び、裂け目が走った。
「また……!」
リュミエルが短く叫ぶ。
黒い穴が開き、昨日と同じ
不気味な形。
意思のない目。
体を支えるためだけの脚。
ライゼルがすぐに動いた。
「っし、今日も片づける!」
だが──
すぐ次の裂け目が開いた。
「二体目……?」
ルナリアの影が震える。
セリオスが即座に構える。
「まずい。昨日は一体だけだった。今日は二体……いや──」
三つ目の裂け目が生じた。
「は?」
ライゼルが目を丸くする。
ガルザスが一歩前に出た。
「全員、散開して戦うぞ!」
戦獣級の断界種が三体、同時に落下。
うち一体がリュミエルに向かって突っ込んだ。
「来ないで……!」
リュミエルが
淡い光が鋭い刃となり、戦獣級の動きを止める。
そこへガルザスが拳を叩き込む。
ドゴォン!!
大地が共鳴し、断界種が粉砕された。
もう一体は、ルナリアが影を絡みつかせて動きを鈍らせ、セリオスの神気刃が切り裂いた。
残り一体のみ。
ライゼルが雷光を纏い、空に飛ぶ。
「最後の1匹は俺が燃やす!」
砂のように崩れる残骸。
風が吹き抜け、静けさが戻る。
しかし、誰も笑わなかった。
リュミエルが息を整えながら言う。
「……ちょっと、頻度が変よ。昨日に続いて今日まで…」
セリオスが淡々と言う。
「──確かに異常だ。」
ルナリアが不安そうに空を見上げた。
「また……来るのかな?」
ガルザスは拳を握りしめる。
「来るなら倒すだけだ。ただ、少し嫌な予感はするがな」
ライゼルが息を吐く。
「ま、ビビっても仕方ねぇしな。来たら来たで全部ぶっ飛ばすだけだ!」
その軽さが、ほんの少しだけ空気を和らげた。
空は再び静かに閉じていく。
それがまるで、何か大きな“前触れ”のように見えたのは気のせいだろうか。
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