マッサージ

《SE~扉の開閉音~》

「…おじゃましま~す~

…そりゃ緊張するよぉー、だって~男の子の部屋に入るのって初めてだもん~」


《SE~鞄を置く音~》


「え? 『隣に座りな』って、人さまのベッドに座るなんて悪いよぉ。

 …うーん、それじゃあ、お言葉に甘えて…んぃしょっと」


《SE~ベッドがきしむ音~》


「男の子の部屋って新鮮だなぁ、私って一人っ子だし、男友達がいるわけでもないし、なんていうか男の子独特の匂いが漂っているっていうか~

…いや、全然臭くないよ~! むしろ、良い、匂い……わああ、何だか恥ずかしいよぉ」


《数秒、沈黙》


「マッサージしてほしいのぉ? やだよ、ただでさえソワソワしてるのにさぁ。

 …そこをなんとか、って………もお、しかたないなぁ~。

じゃあ寝ころんでくれるかな~?

 …え、なに? 座りながらすると思ってた? 

寝ころんでくれないとできないよー。

え、違うの? 『いやいい』ってなんなの、もーやらないよー」


《SE~ベッドがきしむ音~》


「よっこらせっと。じゃあ今からマッサージしてあげるねー。腰回りから…

 もみもみ。もみもみ…。もみもみ。

 なに笑ってるのぉー? 『セルフ擬音』? 口に出した方が効果があるってばあばが言ってたんだもんー。

 もみもみ。もみもみ。もみ…もみ…。

 お客さん、凝ってますねぇ~。私がほぐしてあげますからねー。

 もみもみ、もみもみ。もみもみもみ…。

 もみ…もみ。もみもみ…っと。」


「はい、終わり。良かったでしょ~? 

え、まだ肩が凝ってるって…、もう終わりにしようよー。

そこをなんとか…って…分かったよぉ、特別サービスだからねー」


《SE~袖が擦れる音~》


「(耳元に小声で)…じゃあ、いくよ。

 トントン。トントン。トントン。

 …もみもみも欲しい? うーんわかった。

 もみもみ。もみもみ。もみもみ。

 トントントン。トントン。もみもみ。トントン。もみもみ。

 ふふっ。合わせ技だよぉー。

 もみもみとんとん。もみもみとんとん。もみもみ。とんとん。

(小声で)…男の子の肩って、がっしりしてるんだ。

 あ、ううん。じゃあ続けるね~。

 もみもみ。もみ…もみ。トントントン。もみもみ。トントン。もみ…もみ…。

 ‥‥‥はい、今度こそ終わり! どうだったー?

 気持ちよかった? よかったぁー。 ふふっ、ばあばにもよく褒められるんだぁ~。

 将来はマッサージ師になろうかな~」


「え? いいよぉー私は凝ってないから。

『お返しにさせてくれ』って、大丈夫だってー。

 …わかったよ。じゃあ…よろしくおねがいします」


《SE~ベッドがきしむ音~》


「…あ、うん。そ、そこ気持ちいい…かも。

 はぁ…はぁ。きもちい…い。

 なんだか…体が…ぽかぽか…してきたよ…。

 あ、あん。そこ何だかくすぐったいよぉ。

 …うん。もっと強くしてほしいかも…」


《SE~ガサゴソ音~》


「…ん? もう終わり…? って、何持ってるのぉ?

 …デンドーマッサージキ? へぇそんなのがあるんだ」


《SE~振動音~》


「…あ、ああ。あん。

 き…きもちいいよぉ。か、かなり刺激が強いかも…。

 はぁ…はぁ…はぁ…、あん。そ、そこ。いい。

 …うん、もっと。あ、ああ」


「はぁ…はぁ…はぁ…。うん、とっても気持ちよかった~。

 …私もデンドーマッサージキ買おうかなぁ~。

 え?『一般的な用途は異なるから皆に言いふらさない方が良い』って? そうなの?

 …もーなんで隠すのぉー。分かったよー自分で調べるよ」

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