第2話 毎日

 目覚ましが鳴った、ゆったりと身体を起こす。テレビを付けて、自宅を出る準備をはじめる。

 ふと、気になるニュースが流れる。

 「原因不明の失踪者が累計1000人を超えました。失踪者の家族からは、失踪するよう追い詰めらた様子はなかった。と口々に…」

 また、行方不明者が増えたのかと思う。こういうのは大体やるわけがなかったとか、そんなふうに見えなかったとか言うのが相場だ。事前に気づけば止められたろうに…

 そうこうしている間に出発時間だ。会社へ行かなくては…

 出社する電車の中、ふと思う。この人生の先に何があるんだろうか。

 会社の歯車として生きていくんだろうか。この場所にとどまっていいのだろうか。

 でも環境を変えるのは、堪らなく怖い。自分でも分かるくらい矛盾だらけでため息がこぼれる。

 そして、こんな考えは日々の忙しさの中に溶けて消える。      

 机につく頃には、目の前にある紙の山をみて、現  実に引き戻される。

 今日やることを確認しなくては。

 仕事が始まる頃には全てを忘れ、笑顔を貼り付け皆が知っている、誰かのように、働いている。

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