第15話 蠅
図書館の窓辺で勉強をしていたら、蝿が
「汚いな」
死骸からしたたる体液は、あっという間に硝子を黒く染めあげた。
不安にかられて振り返ると、さっきまで館内にいた利用者がどこにもいない。
怖くなり、出口へ駆けだしたが、本棚が逃げ道を塞ぐように入り組んだ迷路の中を彷徨った。
「助けてー! 誰かいませんかー!」
大声をあげると、
声は群れをなし、大きくなって近づいてくる。
姿は見えず、声だけの存在に囲まれた僕は目を回して倒れた。
その日から、持病の発作が始まるようになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます