第3話 画家の夜明け

 画家は波のように情緒の起伏きふくが激しく、その夜のネガツイもいつものことだと思われていた。


 幼少期に家族から受けたトラウマや、学生時代のいじめ、はては社会に出ても居場所がなく、職を転々とした後に画家になった経緯をうら悲しく話していたと思えば、自分を見捨てた家族や社会に対して悪口雑言あっこうぞうごんのかぎりを尽くした。


「オーバードーズした」というポストの後に更新が途絶え、辟易とした気分で見守ったり、小馬鹿にしていたユーザーも眠った。


 その夜、フォロワーたちの夢に画家のアイコンが現れ、チェーンソーで五体を八つ裂きにした。


 翌朝の新聞は、悪夢を描いた画家の絵が一面を飾った。

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