第7話 登校
アラームの音で目を覚ます。
ぼやけた視界が徐々に定まっていく。
俺は布団を蹴っ飛ばし、無理やりベッドから出た。
いつものように一階に降りて顔を洗い、うがいをして、キッチンに向かう。
大きなあくびをしながら眠気覚ましのコーヒーとトースト、バターを用意する。
「ふあぁ。」
と、こちらも大きなあくびをしながらリビングに入ってきた。
「おはよう。ベル。」
「ん。おはようなのじゃ。」
何年ぶりだろうか、朝の挨拶をしたのは。
かなり、眠気がなくなった。
「起きるの早いね。」
時刻は午前六時頃。
僕は朝から学校で勉強するからこの時間だけど、 まだ寝ている人も多い時間だろう。
「六時間眠れれば問題はないぞ。」
なるほど。
そういうところは、人間と変わらないらしい。
いや、どこかで六時間睡眠を二週間続けると二徹と同じ状態になると聞いたな。
僕も休日は八時間寝るし、地味に羨ましいな、それ。
チーン、と、トースターの音がする。
「はい、召し上がれ。」
取り出したトーストを皿に乗せてコーヒーと共にベルのいるテーブルに運んだ。
「では、」
ベルは手を合わせる。
「いただきます。」
昨日教わった言葉を発し、トーストにかぶりついた。
「いただきます。」
僕も椅子に座りトーストを食べる。
ザクッ、ザクッ、とコゲの部分が噛まれる音がリビングに木霊する。
「今日は何をするの?」
ふと、気になったことを訊いてみる。
昨日はこの辺について解析していたようだけど、今日も一日中ずっとそれということはないだろう。
「パソコンというものを使わせてもらう予定じゃ。」
パソコン。
そういや父さんの部屋にあったな。
「あ、使ったらダメじゃったかの?」
「いや、別に構わないんだけど、何するつもりなの。」
「とりあえずこの星のこと全般について解析をしようと思うのじゃ。」
なるほど。
確かにパソコンは全世界のことを知れる便利な機器だ。
それを解析し、インターネットにアクセスする事が出来れば、ほとんどの事は知ることができる。
問題は、
「不正アクセスとか、ダークウェブとかに接続しないでね。」
パソコンが壊れてしまってはいけない。
僕はスマホがあるから十分だが、父親が使う可能性がある。
それに、犯罪者になるのはゴメンだからな。
「フセイア…?まあ、用はパソコンが壊れなければ良いのじゃろ?」
意図を読み取ってくれたようだ。
話が早くて助かる。
「犯罪もしないでね。」
「犯罪か。生憎この星のルールを知らんのでな。」
「じゃあまずそれをパソコンで調べてから色々やってよ。」
「了解。ちなみにお主はどうなんじゃ?」
「ん?僕かい?」
「ああ。お主は今日何をするんじゃ?」
「学校だよ。勉強しに行くんだ。」
「ほう。」
「人間はベルと違って解析がないからね。色々なことを知るために、そこに行かなくちゃならないんだ。」
じゃあそれがめんどくさいことかと訊かれると、僕はノーと答える。
楽しいところだ。
普通にね。
「「ごちそうさまでした。」」
時間が過ぎるのは早いもので、会話をしていたら、いつの間にか食べ終わっていた。
皿を洗って、登校の準備をする。
「じゃあ、問題を起こさないようにね。」
「うむ。わかっておる。」
最後に確認がてら少し話して、僕は家を出る。
「いってきます。」
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