採用記録から紐解かれる「怪異」。これぞ次世代ホラーモキュメンタリー!
- ★★★ Excellent!!!
この強烈なる個性に、もう導入からずっと魅了されていました。
本作は、「とある会社への入社面接の記録」という形でストーリーが進行します。
「エントリーシートとして書かれた略歴や志望動機」など。それに対する「面接担当者からの評価コメント」という形。
パッと見た感じは企業の中での業務の記録のように思えるのですが、よく見ると「みょ~な違和感」が……。
「面接に来ている人、これは本物の人間でした?」と思えるものとか、「この面接の人は強力なコネのある人だから手心を加えてね」と人事部から依頼があるのとか。
「おや?」と思うホラー感が滲んだり、「企業のあるある?」と思われる忖度展開でクスっと笑えるものとか。
そんな奇妙な採用記録を紐解く内に、どんどん「明らかに不穏な雰囲気」が漂い始めることに。
そうか。この会社は「そういうこと」をしてきた会社なのだな、と次第に全貌が見え、その因果の応報とも言える「何か」がどんどん迫って来ることに。
採用記録という形から垣間見える「異変」という形式がとにかく新しく、常に読者に新鮮な感動を与えてくれるところが秀逸です。
ホラーモキュメンタリーとしての形式が斬新で、いわゆる「近畿地方のある場所に」以降に流行ったルポルタージュ形式とは異なる、「次世代のホラーの在り方」を堪能できるのが特徴です。
同じ著者の「E中学校2004年6月の給食献立表」でも給食の献立表を見ること「怪異」を紐解くという特殊形式が採用されており、いわゆる「モキュメンタリー第二世代」としての個性を徹底的に確立していると言えます。
ホラーモキュメンタリーの新しい時代を切り開く、圧倒的な個性を持つ作品。是非ともその魅力を堪能していただきたいです。