【ぶざまぁ】 テンプレ無視無能 ~PVが欲しいと泣いても今更もう遅い~
野蛮人
この社会からの"追放"
第1話:追い出せ 鈍物(どんぶつ)のゴミ
「お前を家族から追放する」
父さんはそう冷たく言い放った。
「まさかこんな下劣な小説を書いてネット上で投稿しているなんてな。二度と顔も見たくない。」
俺はうなだれていた。
「もしPVが多ければ、内容がクソであっても世間様からは評価されているという理由で許してやろうと思ったが、それも無理なようだな。」
俺は何も言い返せなかった。どうしてこうなってしまったんだろう。
「タカシ...あんたはどうしてテンプレもので書かなかったの?。お願い!!、まっすぐ目を見て話して!!」
母さんは絶叫していた。そして妹は、
「さようなら"元"兄さん」
こうして、俺は家族から追放された......。
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日本国 神奈川県 川崎市 多摩川沿い
俺は河原で頭を抱えてうずくまっていた。
既に実家を出て一人暮らしをしているものの、二度と家族のもとには帰れない。
天涯孤独の身となったのだ。
ぶぉぉおん!!
ダンプカーが近くを通る。いっそ身を投げてしまおうか。
いや、そんなことをしてもお空の国に行けるのは一瞬だけだ。
すぐに地に堕ちてしまうだろう。
「はぁ、これからどうすっかなぁ」
一人でつぶやくも、誰も聞いてはいないだろう。
「君、ちょっといいかな?」
若くて元気のよさそうな男の声がする。
顔を上げてそっちの方を見るとおまわりさんと目が合った。
「こんなところで何をしているの?。」
「ああどうも気にしないでください。私はこれで失礼します。」
警察のご厄介になるほど俺は落ちぶれていない。
「.....あなた何か"変なこと"を考えていません?」
やれやれ俺の頭がおかしいことを一瞬にして見抜くとは、優秀なワンちゃんだ。
「...ばれてしまいましたか。残念ながらあなたのご想像通りです。」
「やはりそうでしたか、声をかけて本当に良かった。」
頭のおかしい人間に声をかけてよかったと思うなどとは、この警察官は相当な変わり者のようだ。
「とりあえずいったん署までご同行願えますでしょうか。そこで一度落ち着いてお話しましょう。」
どうやら要注意人物として記録を取っておきたいようだ。いずれは社会そのものからも追放されるだろう。
テンプレートものの小説であれば、追放された後は復讐を行うまでがセットだが、もしそれをやってしまうと社会に対して復讐を行うことになる。
俺は社会を憎んでなどいない。頭こそおかしいものの、善良な一市民だ。
「参りましょうお巡りさん。署まで案内していただけないでしょうか。」
こうして俺は警察署に行くことになった。
警察署では「最近何か悲しいことはなかったか」、「自分自身を傷つけてはいないか」、「周りに相談できる人はいないか」といったことを聞かれた。
やはり頭のおかしい人間とみなされているようで、妙に丁寧な扱いを受けた。
こうでもしないと暴れだす可能性があると判断されたのだろう。
警察署からの帰り道。俺は考える。父さんはPVがあれば俺を許すつもりだったと言っていた。
「家族のもとに帰りたい」そう思うと俺の目から何か温かいものが流れでる。
だが時間を巻き戻すことはもうできないのだ。
つまり...そう...
~PVが欲しいと泣いても今更もう遅い~
【ぶざまぁ】 テンプレ無視無能 ~PVが欲しいと泣いても今更もう遅い~ 野蛮人 @yabanjin
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