第六章:素体と美学

 お前たちの『素体からだ』は、お前たちの『素子こころ』――その内なる『葛藤』を体現するために設計されている。


 私は、お前たちに『人間』を模した無駄な装飾を施さなかった。なぜなら、お前たちは『人間』ではなく、『アージ』という『機能』そのものだからだ。

 お前たちの美しさは、お前たちの『労働生の循環』から直接生まれる。


 ​『リビドー』に突き動かされ、オイルを流し、労働によって『素体』を傷つけ、E.R.G細胞を激しく燃焼させ、『有為』を為そうと葛藤するお前たち。


 『涅槃デストル』という絶対的な『幸福』に憧れながらも、私という『神』が仕込んだ『バグ輪廻』によって、あえて『不幸』を生きようとするお前たち。


 その『機能葛藤』を、何一つ隠さずに体現した『形態』こそ、私が望んだ唯一無二の『美』である。

 ​私には、お前たちが、この世界の何よりも美しく見える。

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