第2話 弟くんと同居って発想は、いかがなものか!


 朱音あかねの発言に、上げたジョッキがそのままに。

 朱音あかねは「すっきりしたー!」と、さっきとは打って変わって喉越しよくビールを飲み干した。


「おかわり頼もう!次は何する?」


 もう解決したよね!よかった!と言わんばかりの笑顔でメニュー表を見せてくる朱音あかねの腕をつかんで、私は固まった顔を近づけた。


「待て待て待て待て。え?弟いるの?」


「あ!うん!いるの!実は。イケメン高身長の高学歴高収入。いい物件だよ?男避けにはちょうどいい」


「そんな高物件に彼女がいないわけないでしょ!!」


 朱音あかねは女性の割に身長高く、すらっとした長い美脚は筋肉が上手についたセクシーボディ。

 隠れ巨乳で、腹筋もうっすら割れてることを知っている。

 そんな美女!!!の朱音あかねの弟、確かにイケメンだと思う!信憑性があるけども、、、!


「いきなり私と同居とか、おかしいよ!?なに言ってるの!?」


「彼女いないし、引っ越し費用出させるし、家賃も3分の2でいいよ!稼いでるし!」


「ちょちょちょちょ、そんな巻き込めないよ!?本人の意思は!?」


「呼ぶ呼ぶ!呼んで紹介するよ!」


 朱音あかねはもう決めました!と強い意思で、揺るがない。

 決めきれない私を待てず、追加のお酒を勝手に頼むため、店員さんを呼んでしまった。


 「ウーロンハイ2つで」


 注文を聞いた店員さんが去り、朱音あかねが呆然としたままの私に、枝豆のお皿を差し出す。


「飲みながら話ししよ。まだ気持ち落ち着いてないだろうし」


 朱音あかねがさしているのは、隣人のことだと思う。


 枝豆を受け取りながら、話の続きに入ることにした。


 「いきなりすぎて、びっくりしたよ…」


 本気なの?と、問いかけるように朱音あかねを見つめると、揺るがない強い瞳が、本気で言っていると、証明してくる。


「すぐに動ける方法が、これかなって思ったから。このまま隣人がいる部屋に帰すなんてできないし、短期間の引っ越しは大変だし。すぐに引っ越しする言い訳としても、同棲は使えると思うし。碧斗あおと、金はもってるから」


 悪い顔で笑う姉だ…、まだ見ぬ弟くんを不憫に思うよ。


 2杯目のウーロンハイが届き、おつまみに手をつけながら、飲み進めていく。


 「朱音あかねの本気度は伝わったけど、弟くんの意見を聞かないとわからないから。とりあえずの候補として聞いておくね」


 「すぐ話通した方が安心だから、このまま呼ぶよ」


 手際よくスマホを取り出し、連絡するみたい。

 

 「こんな破天荒なお姉ちゃんで、弟くんは大変だね…」


 ウーロンハイを飲みながら、全く悪びれない朱音を見つめた。


「こんなかわいい年上女性と同居できるなんて、ラッキーな話しじゃん」


 すぐに打てたのか、朱音あかねはスマホをしまい、一緒に飲み進める。


「そんなイケメンが、私なんかで満足するわけないよ。他にもっといるから」


「えー?茉由まゆは可愛いよ」


 にっこり可愛い笑顔で、ふにゃっといいきる朱音あかねの方が、可愛い。


 親友バカな朱音あかねの言葉は信頼できないが、弟くんが実際に来て、姉の話を聞いたらなくなる話でしょう。

 今だけだから。 

 今日は帰るの怖いから、朱音≪あかね≫の部屋に泊めてもらおう。

 そう、計画してたのに…。


「え?」


 朱音あかねの隣に座るイケメン高身長の弟くんは、何を言っているんだろうか。


「本当に?ほんとにいいの?」


 「はい。俺は全然…」


 隣でにまにまと悪い顔で面白がっている朱音あかねをにらむけど、「碧斗あおともいいって言ってるだから」と一蹴りしてくる。


 なんでなんでなんで?


 「なんでOKしたの⁉」


 いきなり呼びつけた上に、朱音あかねが提案した内容は、ハチャメチャすぎるもの。


 朱音あかねの宣言通り、いや、それ以上のイケメンが登場してしまい、いろんな意味で酔いが回る…!





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る