静かに積み重ねた夫婦の愛が、近代化の波と老いによって少しずつ崩れていく描写が胸に迫りました。思い出が薄れていく切なさ。優しい物語の形式でありながら、ラストの現実の冷酷さが深く心に残る短編でした。
物語りの対極にある物語りです。消えていくことによって物語を浮かび上がらせます。あまり考えたことのないストーリーですが、読んだ自分と、読まない自分に一線を画すようなそんな物語だとおもいます。