魔法使い・レモン
水スライム。
その名の通り体全体が水分で形成された生物のことだ。
ポヨン。
草むらから水スライムが飛び出してきた。
「静電気‼︎」
バチン!
電撃が走った。
魔法使いのレモンが仕掛けたのだ。
バシャンと水スライムが弾けた。
このままでは個体だった体が液体となって地面に吸収されてしまう。
「
カコン。
液体がボックス状の塊となって宙に浮かんだ。
勇者のスイカの魔法である。
レモンはすたこらとそれを回収しに行く。
「もう十分、水は確保しただろう」
「いいじゃんこれくらい。それにレベルアップに繋がるんだし」
水は『フルーツ』達、フルーツ族にとって貴重な資源なのだ。
街を出る際に大量に水を装備してきたスイカにとっては段取り良く王女のもとへ行きたいと考えているので水スライムは避けて通りたいモンスターである。
「ねえ、スイカしりとりしようよ」
レモンが唐突に切り出してきた。
ちなみにレモンは女の子である。
「なんで?」
「いいじゃん別に」
勇者のスイカと魔法使いのレモンはスイーツ魔法学校で知り合ったのだ。
「やらない」
「やろうよ」
スイカは剣技も魔法もズバ抜けて成績が良かった。
「負けちゃうよ」
「レモンは負けないよ」
一方でレモンは落ちこぼれだった。
「ほら勝った」
「なんで・・・・・・え、え?え!」
二人は授業を受ける際、隣の席という仲なのだ。
「僕の勝ち」
「そういうのな・し!」
二人が言い合っている時、
「ぶハックション〜!」
どこかの道で梨王子が盛大にくしゃみをしていた。
「フン、マンゴー王女が僕のことを待っている。Oh〜Beautiful すぐ行くよ!いくぞ君達。フレッシュ‼︎」
「ピア‼︎」
梨王子の甲高い掛け声と共に『FP』達が叫んだ。
彼らもまた冒険をしているのである。
「ねえ、今度はジャンケンしようよ」
歩きながらレモンは話しかけてくる。
ちなみに彼女はスイカの事が好きなのだ。
「いいよ〜」
女の子だからなのかそれなりの対応をスイカはする。
なんとも言えない腹黒さである。
「じゃーんけーん・・・・・・」
レモンのスイカへ向けた好意はパーティ内では誰もが知っている。
「ポン!」
側から見れば微笑ましい光景に見えるが冒険内容的には・・・・・・
「今、スナップ効かせたでしょう」
レモンは結婚を止めようとしていて、
「これは蔦がそういう現象に見えただけ」
スイカは別の女とイチャつこうとしているのだ。
「もーやってらんない」
危険な旅路に着いてきた自分を恥じるべきか今すぐに故郷に戻るべきか。
「ならいい」
答えなんてものはすでに出ているのだ。
レモンは出荷される前に薬品を使われるか使われないかで選択を迫られた・・・・・・スイカという男に。
「またやってやる」
レモンは薬品をかけられた。
それは自分の望んだ結果ではなかった。
スイカが偶然にもレモンが逃げようとした道を閉ざしてしまったのだ。
彼女は無農薬ではなくなった。
レモンは決意した。スイカを落とすと。
「あ、アイツ野菜じゃね」
レモンは思った。
当の本人は地に足をついている。
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