第2章・後半:言霊(ことだま)で魔力を育てる
#### 【転生から9ヶ月目 学園・自室】
前世の記憶にあった体内の精神エネルギーは言葉によって上がったり下がったりするというのを俺は思い出し、もしかして魔力量も言霊によって増やせるんじゃないか?
俺は早速実践した!簡単なことだ、なんでもいいから声に出して感謝の言葉を言い続けることだった…
そして徐々に魔力量が上がってきている…でもほんの少しづつだったが、俺は嬉しかった!
夜。
蝋燭一本の薄暗い部屋。
俺は床に正座して、ただひたすら呟き続ける。
「ありがとう。
ありがとう。
今日も生きてる。
飯が食えた。
筋トレできた。
マダムが買ってくれた。
薬草が採れた。
ありがとう。
ありがとう……」
最初はバカバカしいと思った。
前世で読んだ自己啓発本の「ポジティブ言葉で波動が上がる」みたいなやつだ。
でも、科学的に考えたら理にかなってる。
- 言葉 → 脳に指令
- 脳 → 神経系に電気信号
- 神経系 → 生体電流(=魔力の正体)が増幅
- +プラシーボ効果で循環が安定
つまり、「感謝の言霊」は最強のドーピングだ。
#### 【実践ルール(俺が決めた)】
1. 1日1万回「ありがとう」を声に出す
→ 朝3000、昼3000、夜4000
2. 感情を込める(棒読みはNG)
3. 魔力測定器(簡易水晶)で毎日記録
4. 筋トレと併用(身体と精神の両面強化)
---
### 1週間後の変化
| 日数 | 魔力量(エルド) | 変化 |
|------|------------------|------|
| 0日目 | 0.021 | 基準 |
| 3日目 | 0.024 | +0.003 |
| 7日目 | 0.029 | +0.008 |
| 14日目 | 0.037 | +0.016 |
微量だけど、確実に上がってる。
しかも副作用ゼロ。
むしろ寝つきが良くなり、朝の筋トレが楽しくなった。
俺は確信した。
> 「魔力は筋肉と同じ。毎日少しずつ負荷をかければ育つ」
> 言霊は、俺の“精神の筋トレ”だ。
---
### 学園内で広がる「ありがとう教」
俺が廊下で呟いてると、
最初は笑われた。
> 「また奴隷が変なことしてる」
> 「頭おかしくなった?」
でも、落ちこぼれ仲間が真似し始めた。
- 実技0点のハンス(太った貴族三男)
- 炎が出なくて泣いてたミリア(孤児出身)
- 筋トレ仲間ガスト(元傭兵見習い)
俺が教えた。
「ありがとうを1日5000回言ってみろ。
1ヶ月後に魔力測るから」
#### 1ヶ月後──簡易測定室
| 名前 | 前 | 後 | 増加率 |
|--------|----------|----------|--------|
| 俺 | 0.037 | 0.068 | +84% |
| ハンス | 0.11 | 0.19 | +73% |
| ミリア | 0.09 | 0.17 | +89% |
| ガスト | 0.33 | 0.51 | +55% |
全員大幅アップ。
しかも実技の安定感が段違い。
ミリアが初めて小さな火の玉を浮かべて泣いた。
ハンスは水の球を30秒キープ。
ガストは「ありがとう!」と叫びながら土の壁を一撃で割った。
---
### 学園上層部の反応
#### 【教授会議】
> リリア先生:「あの子たち…全員『言霊訓練』をやってるらしいわ」
> 学部長:「魔力増加率80%超? 冗談じゃない」
> 貴族派教授:「奴隷上がりの戯言に惑わされるな!」
> リリア:「でもデータは嘘をつかない」
→ 俺は呼び出しを食らう。
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### 学部長室──対決
学部長(70歳の老魔術師・魔力9800エルド)
> 「君のやり方は危険だ。魔力を無理に増やせば暴走する」
俺は静かに答える。
「暴走するのは基礎のない魔力です。
俺たちは筋肉と同じで鍛えてます。
毎日少しずつ、感謝しながら」
学部長、水晶球を差し出す。
> 「なら証明しろ。今ここで」
俺は深呼吸。
そして、心から呟く。
「学部長、俺を生かしてくれてありがとう。
この学園、ありがとう。
今日も息ができる、ありがとう……」
水晶球がジワリと光り始める。
0.068 → 0.071 → 0.075 → 0.082
学部長、目を見開く。
> 「…1分で0.014も上がっただと?」
俺は笑った。
「まだまだです。
明日もありがとうを1万回言います」
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### 新しいあだ名
学園中に広がった。
「ありがとうの聖者」
「言霊の奴隷」
「感謝で魔力を育てる変人」
俺は気にしない。
だってデータは正直だ。
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