銀眼の魔女と残念勇者
@kojyarasi
第1話 銀眼のリシア
夜のように静かな森の奥、風が白い炎のように揺れていました。
その中心に立つ少女──銀眼のリシアは、まるで世界から切り取られた、1枚の絵のようでした。
銀の瞳は、星が落ちて固まったように澄んでいて。 白い髪は、ふれれば溶けてしまいそうなほどやわらかく輝いていて。
リシアの表情は、どこまでも静かでした。
悲しみでもなく、怒りでもなく──ただひとつの願いだけを宿す、静かな光。
その声は、とてもとても小さくて、風に混ざって消えていきます。
そこには、千年を越えて積もった想いが込められていました。
リシアは胸に手を当て、ゆっくりと目を閉じました。
弱い光。だけれどもとても優しい光
世界で一番、大切だった光。
「もう一度……」
祈るように囁くと、足元の魔法陣が淡く光りはじめました。
風が震え、小さな葉が宙に浮かびあがりました。
青白い光の輪が森に広がりそしていっぱいまで広がったあと収縮していきます。
祈りと魔法が、ひとつになってゆきます。
リシアの銀の瞳が開かれたとき── その奥には、決して消えない決意が宿っていました。
「……必ず」
その声は、世界の中心に触れるほどに澄んでいました。
こうして銀眼のリシアの物語は、静かに動きはじめたのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます