詩「冬の風神」

金子よしふみ

第1話

今季も風神がやって来る


北西の大陸から

地団太を踏んでいるのか

海峡を渡る帰郷の汽船は

テーマパークのコースター


閉め切った家屋の

障子戸を叩き続けては

遊ぼうよとでも言って

袖を揺らす


夜中には

ラジオの中に入り込むと

異国の言葉を差し込んで

堪能に水を差す


人間のこしらえた工作など

おかまいなしの

ご機嫌斜めか

いたずら好きかの風神が

今冬もやって来た

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詩「冬の風神」 金子よしふみ @fmy-knk_03_21

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