第6話 もばいるばってりー??
とある放課後、場所は美術部室。室内には、顧問の高森由香里と部員の宮部美樹の2人だけ。
「へぇ……最近は、モバイルバッテリーの発火事故が多いんですね。私も持ってたりするから、怖いなー」
私が課題の作品を描きながら、片手でスマホのネットニュースを読みあげる。
「こぉら、美樹ちゃん……いくら2人きりだからって、部室内でスマホばっかり見ちゃダメよー。で、なに? もばいるばってりー? テリーさんが、どうかしたの?」
「……由香里先生、自分だってスマホ持ってる世代なのに、たまに昭和みたいなポンコツ発言しますよね(笑)?」
「い、いいじゃないっ! 古い歴史のいいところだってあるんだからっ!」
「古いって……今の時代の話ですよ。由香里先生も見たことありますよね? スマホを外で充電するための電池を持ち運びできる、便利アイテムなんですよ」
「そ、そうなんだ……。それじゃ、たとえて言うなら、こんな感じね♪?」
そう言って、由香里先生は私の背後から覆いかぶさるように抱きついてきて、顔をスリスリと寄せてくる。
まるで、大きな犬みたい……だけど。
「こんな感じって、どんな感じですかっ(笑)?」
「大好きな美樹ちゃんで、私は急速充電中―♪」
やれやれ……ポンコツなんだけど、こんなに憎めない美術教師って……。
「これじゃ、回収なんて出来ませんから、私がずっと手元に置いておかないといけませんね(笑)♪」
「でしょ! 私なら、パンパンにふくらむこともないわよぉ♪」
「でも、由香里先生? 食欲の秋だからって、最近食べ過ぎてるって言ってませんでしたっけ(笑)?」
「こ、こらぁ! それは言わない約束でしょっ!」
「あははっ! 由香里先生、苦しいですって!」
今日も平和な美術部の、平和な2人の日常。
終わり。
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