41.ミートゾーン VSブレイカー共

【サイン視点】


俺達は遠回りしながらミートゾーン突入したポイントに向かっている。


知らんウォーカーと会った時はどうなるかと思ったけど、何事も無くて良かったわ…ついてきてないよね?後ろからついてきてたら開戦の合図ですよ?うちのヴィクトール様とアミューの無双が始まりますが?


「ふぅ、アイツらはどうやら反対側に向かったようだな」

「ウォーカーにしては意外とまともそうな人達でしたね」

「チーム「群れ!」…はい、まあ、どっかの群れに入ってるやつらは大人しいもんさ基本は。どこかと揉め事を起こしたら、最悪群れ同士の戦争が始まるからな」


マジで人間同士の戦争は不毛だからなぁ。戦争をすれば群れのリソースは否が応でもゴリゴリ削れる。そんな削れた群れを他の群れがほっとくわけがないんだわ。漁夫の利を狙われ大体が両方とも終わりを迎える。


まあ、俺の群れはあちこちにケンカ売りまくってるけどな。お構いなしに。もちろんケンカも俺達の中では自己責任なので始めたら、基本は自分で解決しなきゃいけない。


そこを勘違いしたウチの新人がどこかにケンカ吹っかけて、【メンツ】や【ケジメ】とやらのクソどうでもいいことをクソ熱く語り、結局誰も助けに来てくれず一人でリンチされて死ぬ。よくあることです。


最近だとミツガレが入ったけど、アイツは性格がそういうタイプじゃないので大丈夫だろう。


そんな俺達の前に黒装束の奴らが立ち塞がった。


「ああ!神よ!」

「こやつらを今汝の元へ!」

「白銀の聖棍を持って!」


頭の中でクソ新人を笑ったせいだろうか。あちこちにケンカ売りまくりの群れが現れた▼


「ブレイカー教だな」

「厄介な連中とまた…」


ブレイカー教かぁ。俺も何度か戦ったことはあるけど強いんだよなぁ。めんどくさいし。だってこいつら特攻してくるもん。死ぬのが怖くないのか!


ヴィクトールとリビル君はすでに臨戦態勢だ。まあこいつらは話し合い自体ができないからな。さっさと殺すに限る。しかしまずは鉄板ネタから。


「お前らの神父の頭の【テッペンハゲ】は今日も元気にハゲ散らかしてんのか?」


「「「殺す!!」」」


煽る。こういう宗教じみた集団はこういう煽りに弱い。すぐに頭沸騰して直情的になるので少し面白くもある。ちなみに【ブレイカー神父】は本当に頭のテッペンだけハゲてらっしゃる。


黒装束の連中が聖棍を振り回し直線的に襲いかかってきた。ブレイカー教の連中はバリアが分厚い。生半可な銃では弾が跳ね返されて終わりだ。しかも聖棍は電磁バリアを容易に粉砕する。言ってることもやってることもやべぇ連中だが普通に強いのだ。


というわけでほいっと。

飛んできた何かに相手は一瞬警戒して止まる。

そしてすぐに周囲が煙で満ちる。


「これは…」


緊急用のニンジャマスター御用達の色付き煙玉発動!俺は隠れるぜ!


そして手に持つはいつものニン剣!


「グペッ…」


黒装束の背後に回り込み横薙ぎに振るって背面の薄いバリアごと両断していく。俺の対ブレイカー教十八番の対処方法だ。ちなみに煙玉の成分は解析してあるので俺はこの煙の中でも問題なく見える。


ヴィクトール達も俺の情報収集機のおかげで見えてるはずだ。銃を撃っている。俺に向かって撃つなよ?


アミューは…


ドゴォン!バキャッ!グチャッ!


問題なく動けているようだな…なんでアミューは見えてるんだ?ダイナロイドにもちゃんと効くはずなんだけどなこれ…ってよそ見しすぎた!


「死ねぇ!」

ガゴォン…


聖棍が俺のバリアを破って攻撃が届く。聖棍は俺の右腕に当たった。パワーアーマーごと腕が曲がっちゃいけない方に折れ曲がり激痛が走る。


「ガバッ…」


素早くエネルギーを込めたニン剣を左腕で横に振って相手を斬りつけ反撃した。


おーマジで痛いぞ。久しぶりの怪我だ涙が出そうです。ニン剣のエネルギーも空になっちゃったし後は他に任せるか…


木陰に隠れ治療を始める。バッグから応急処置キットを取り出しパワーアーマーを右腕部分だけを外した。うわぁ…綺麗な紫色だなぁ。即効性の鎮痛剤の注射を打ち、左手で右腕を持ち強引に骨を元の位置に戻す。後は簡易的なギプスを巻き終わりだ。


その頃には銃声も断末魔も聞こえなくなり、辺りは静かになっていた。ゆっくりと顔を出すとヴィクトールとリビルだけが立っていて、辺りは血の海だった。


「この銃だったらブレイカー教のバリアも抜けるんだな」

「ホントいい銃ですね!」


…俺も銃で戦えば良かったかぁ?

十八番に拘って油断した結果俺は骨が折れたぞ自業自得だな。

パワーアーマーの右腕部分、これ廃棄だな。


(さすさす…)


多分アミュー?が俺の折れた右腕を擦っている。それ地味に痛いのでやめてください。


「いやぁ、俺はしくじったわ。右腕やられたわ」

「ああ、見ていたぞ?戦闘中によそ見していたからな。油断しすぎだぞ」

「…ぐぅの音も出ない」

「でもまあみんな無事ならいいんじゃないですか?さっさと帰りましょうよ」

「そうだな。早く移動しよう。あと少しで出られるはずだ」


俺達はこの後、何事も無く森から出ることができた。











その後ミートゾーンには新たな賞金兵器が誕生した。見た目はミノタウロシ。身体が巨大で、銃弾を弾く電磁バリアを纏い、巨大な白銀の棍棒で人間をミンチに変えていく。その賞金兵器の右腕には黒いパワーアーマーが装備されていた。


賞金兵器【ブラックブレイク】

討伐賞金2500万エルン

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