24.ハイガル戦地 トラブルの予感

【アミュー視点】


モヤモヤしている理由がわかった。

サインが死んだら…というもしもが怖かったのだ。

他の人間達が機械兵器や生物兵器に殺されているところを見て無意識にサインと重ね合わせていたようだ。


(私がサインを守る…!)


ご飯を食べ安全地帯を出た私たちはさらに奥に進んでいく。

他の人間や兵器たちには一切関わらずに…しかしやはり見つからないにも限度があったのだろう。


「ニン!」


私たちの前にニンジャマスターが立ち塞がった。3体いて真ん中のやつが指で印を結んでいる。攻撃はさせない。


ドガアアァァァーーン!!!!


印を結んでるやつに全力で飛び込みジェネレーターのある部分を全力で殴る。爆音と共にニンジャマスターが吹き飛ぶ。破片が後ろに控えてるやつらにも当たりそいつらも行動不能になった。


よし!


バキン!バチバチッ!プシュー…


私の着ていたパワーアーマーが壊れた…やり過ぎた…

サインが慌てて駆け寄ってきて、

私のパワーアーマーを確認している。

サインがハンドサイン…というかジェスチャーで伝えてくる。


(ここで廃棄)


…本当にやり過ぎた。

サインの装備を1つ壊してしまった…

サインは私の頭を撫でて小声で

「気負いすぎだ」

とだけ言って付いてくるように私に指示を出す。


私はカメレオンスキンで透明になりサインの後ろをついて行く…しょぼん…


【サイン視点】


アミューに着せていた俺のパワーアーマーがぶっ壊れた。

アミューの全力はミドリノシェルターでアーマードをボコボコにした時に見たと思ってたけど、まだ上があるようだ。


次はアミューが全力で使っても壊れないパワーアーマー作るか?となると前線武器だけじゃなく機械兵器の装甲のやプレートをたくさん集めなければいけない…


とりあえずさっきの破壊現場から離れなければ、爆音に兵器たちが集ま…赤い光っ!


チュインッ!


素早く横に転がりスコープマンの狙撃を回避した。アミューが勝手に突撃しないか少しヒヤヒヤしたが今回はちゃんと後ろにいるようだ。バックやら装備が後ろに浮いており、透明のまま俺の手を握っている。避けなかったら引っ張ってくれたりしたのかな?


ここで一つ、機械兵器たちには実は【遊び】がある。ニンジャマスターは登場演出としてなのか敵を見つけたらまず印を結ぶ動作をする。ガンマンマスターはたまに銃を指先で弾いてカッコよくクルクル回したり、決闘を宣言すると一対一の早撃ち対決をしてくれる。


そしてスコープマンは射撃前にレーザーサイトのようになった顔から赤い線を出し、これから撃つ場所が視認できるようになる。


過去にこれらを作った博士の趣味らしいが意味がわからない。まあ隙は隙なので有効に活用させてもらっている。


とりあえずこの道はダメだな。

スコープマンの射線に出ないようにしつつ道を少し戻る。アミューはずっと手を繋いだままだ…ちょっと強くない?握り潰しそうで少し怖いよ?ってかハンドサインも出せないんだが。


少し道を戻ると戦車の形をした車両タイプの機械兵器が、アミューがニンジャマスターをぶっ飛ばした方に向かおうとしてるところが見えた。しばらくすると俺たちの前を通るルートだ。


チャンス!急いでバックを開き持ってきた地雷出し、アミューに見せ小声で…


「あそこにこの地雷を置いてきてくれ」


と伝える。すると俺から手を離し俺が指を差したポイントに地雷が浮いていって置かれた。アミューがまた俺の手を握ったのを確認したらその場から少し離れる。少ししたら爆発音が聞こえた。


戻るとちゃんと車両兵器が大破していたのでカゴを展開して、装甲や部品を入れていく。アミューも俺のその動きを見て同じように集めてくれているようだ。カゴと装甲と部品が俺の隣でフワフワ浮いているのは念力を使う生物兵器がまるで近くにいるような感じでなんかソワソワする。


ああ…車両兵器に付いてる機関銃とか大砲も拾いたいなぁ。

でも取り外すのは時間かかるし持つ余裕もない…未練がましく車両兵器を見てると隙間から青い光が出てるのが見えた。この青い光は…


「ジェネレーターが生きてる…」


思わず声が出てしまった。今の地雷で車両兵器のジェネレーターを壊さずに無力化できていたようだ。


「…アレも持って帰るの?」


アミューが小声で聞いてきた。持って帰りたいが、持って帰るのにはいくつかのリスクがある。


まず目立つ、結構な光量で光っているので隠れるのが難しくなること。


そして剥き出しになったジェネレーターから放たれるエネルギーが、周りにいる生物兵器を引き寄せる可能性があること。


アミューにそれを伝えると…


「任せて」


と言った。すぐに車両兵器の装甲が大きく四角形に切り取られ、ジェネレーター部分が剥き出しになった。そしてジェネレーターを外し、切り取った装甲の上に乗せ…他の切り取った装甲を箱のように組み立て、繋ぎ目を多分握力で握り潰して密着させていく。


す、凄いけど…そんな握力で俺の手を握らないでくださいよ?


「できたよ?」


装甲でパッケージングされたジェネレーターをアミューから渡された。しかし…

カゴをスッカラカンにしてギリ入る大きさだ…

まあジェネレーターと比べたら装甲なんてゴミみたいなもんですよね。

カゴをひっくり返してからジェネレーターを入れよう。

アミューはこれも手伝ってくれた。

俺がジェネレーターを持ち、アミューは使えそうな車両についていた部品や装甲を持ってこの場を離れることにした。ってかもう十分だし帰ろう。



【サインの武装車付近】


サイン達が見つけたジェネレーターエネルギーを探知しある生物兵器がこのハイガル戦地にやってきた。人が四つんばいに歩いてるのような見た目をしており、体中から硫酸を垂らしている。そしてデカい。サイン達の武装車も手のひらと同じくらいの大きさになる。もしサイン達が接敵したら勝てない相手だ。その生物兵器の名は…


賞金兵器【ワンダリングイーター】

討伐賞金5000万エルン


「姉御もワシをたかがハイガル戦地に送るなんて過保護じゃのうと思っていたが…これワシ死ぬんじゃね?」


全身にピストルタイプの前線武器をいくつも身に着け、古びたカウボーイハットを被った老齢のウォーカーがその生物兵器に立ち塞がった。

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