15.ミドリノシェルター跡地 蹂躙
【アーマード首領 ガンダ視点】
「ボス!辺りのマンティスの掃討は終わりました!」
「ご苦労さん、あとは中のやつらを待ち伏せするだけだな。みんな配置についたな?」
「大丈夫です!」
今回は普段情報を買ってる情報屋からの依頼で来た。この情報屋の情報の精度は抜群で、いつも俺たちに絶好な狩場を教えてくれたり、命を救ってくれたりした。おかげで俺たちは全員パワーアーマーを装備し、それなりの武装。幹部には前線装備を渡せるレベルのチームに成長することができた。
「情報屋から新しい情報が、中の工場が生きてて果物の缶詰が山のようにあるらしいですよ?」
いいねぇー。チームのトラックを全部動かして来た甲斐があったってもんよ。畑を情報屋に売って、俺たちは缶詰で荒稼ぎ…マジで当たりすぎるぜ。
「ボス!索敵機に反応が!」
「よしお前ら構えろ!電磁バリアも正面に集中させろ!油断するな!」
「「「了解!」」」
全員で武器を構える。中にいるウォーカー共には悪いが交渉もなく一瞬で殺させてもらうぞ…
バキン!グシャ!
ドアが蹴破られ弾丸のような速度で飛んできて、仲間の一人が電磁バリアが割れる音と共に潰れた。
仲間たちはその光景を見て一瞬呆然としてしまった。
マズイ!待ち伏せがバレていたのか!
そして一瞬で出口周辺は煙で見えなくなる。
「よそ見するな撃て!敵が出てきてるぞ!」
正気に戻った仲間たちが一斉に煙に向かって射撃を行う。
俺は前線武器の強化レーザーライフルを用意する。
索敵機を持ってるやつに敵の位置を位置を聞こうとしたがそいつは顔を青くして固まっていた。
「おい!なんだ!何かあったなら早く報告しろ!」
「あの煙ただの煙じゃないです!索敵機の反応が全部消えました!」
ちっ、まずいな。敵の装備が俺たちの装備より上の可能性が出てきた。煙の中から敵の弾幕が飛んでくる。音的にミニガンだな?恐らくガードル製…なんだ?えらく武器はしょぼいな?その程度の武器じゃバリアは破れ…
「ぐあっ!」
「何!」
仲間の一人が頭を抜かれた。ガードル製のミニガンごときでバリアを壊せるはずない…が…
「無防備に立って撃つな!敵の武器はこっちのバリア抜けるぞ!」
くそ!2人もやられた!野良ウォーカーのクセにやりやがる。
そしてしばらくはお互いに決定打に欠ける銃撃戦が行われた。そして煙がゆっくりと晴れてくる。
「索敵機戻りました!敵は3人!」
1人は出てきたドアの前で堂々と立っている。ミニガンを持ってるやつだ。残りは隠れてるからか姿が見えない。囮か?パワーアーマーは着ていない。全身を防護服で覆っていて尻尾が見える…尻尾?
よくわからんが尻尾のやつを撃たない理由がないので見えた敵に向かって全員で射撃する。
「〜♪」
当たらない。全て避けられている。どんな動体視力してんだ…そして反撃がくる。
あのミニガンは予想通りガードル製ミニガンだったが、どういう理由か少し連続して撃たれるとこちらのバリアを抜けてくる。今度は手だけを出して撃ってるやつの武器が敵の攻撃で飛んだ。弾が違うのか?
マズイぞ、劣勢だ。そもそも待ち伏せが失敗した時点で嫌な予感がしていたがどうやら敵さんはかなり強いらしい。逃げの選択肢もかんがえ…
【鍵屋視点】
「うーん、勢いよく外に出たはいいけど今度は僕のショットガンじゃ相性悪いですねぇ。またアミューさんにおまかせ状態になってしまいました」
「あの蹴り凄かったわねぇ。ドアを蹴破る音で鼓膜破けるかと思ったわよ。で、サインはどこ行ったのよ…」
「知りませんよ。まあアミューさんを置いてどこかに行くとは思わないのでどこかにいるとは思いますよ?」
そう、外に出てすぐサインさんは忽然と姿を消してしまった。
次にアミューさんが敵に向かって弾をばら撒きまくって、結果敵が隠れてしまって僕たちのできることも無くなってしまった。
「ふぅ、少し趣向を変えてみましょう。ミツガレさん。早撃ちは得意ですか?」
「?まあ、それなりにはできるつもりよ?」
「では…【ダールさん!起立!気をつけ!】」
「…は?」
遮蔽からパワーアーマーを着た男が出てきて気をつけをする。相手も慌てているのか顔がパニックになってますね。
ミツガレさんが驚いてる間にダールさんはアミューさんに頭に穴をあけられ倒された。
「アミューさんに負けちゃってますねぇ。次行きますよ?「ガリオスさん!起立!気をつけ!」
ガリオスさんも遮蔽から出てきて気をつけをする。今度はミツガレさんのスコープマンのライフルが前線武器らしい火力でバリアごと敵を消し飛ばした。
「あんた…敵のパワーアーマー操作できるの?」
「あの程度の量産パワーアーマーじゃあ動かしてくださいって言ってるもんですよ。まあ逆を言えば量産型系のパワーアーマーにしかできないのであんまりできる遊びじゃないですけどね」
「性格悪いって言われない?ついでに敵の個人情報まで抜き取ってるじゃない」
そう、遊び。遊びなんですよねこの程度の敵じゃあ。さて、次は誰に…あっ。
「敵さんパワーアーマー…脱ぎましたね」
「判断が早いわね。よく訓練されてるわ。ただしここじゃ悪手だけどね」
アミューさんがミニガンを捨てる。
「うん!よし!ここからが本番だね!」
先程俺たちを襲った殺気がまた満ちる…
マンティス種との戦いやミツガレさんを強襲したときとは違う本気の殺意。敵の銃声も止まる。
「あー、私これ慣れないかも」
「慣れたらきっと長生きできませんよ?」
「そうねー」
アミューさんの身体の形が変化していく。体格が大きくなっていき、手と足の爪が鋭く長くなり、筋肉が膨み、着ていた防護服も破ける。全身が鱗に覆われ顔も爬虫類のように変化し…
情報端末で見たことのある太古の恐竜図鑑のラプトルのような姿となったアミューさんは誰がどう見ても立派な生物兵器だった。
そこからは蹂躙だった。逃げ惑う敵をアミューさんが追いかけ爪で刻み尻尾を振り回し敵を両断する。
パワーアーマーを脱いでしまったアーマードの面々は逃げることも反撃することもできなくなっていた。また僕たちのやることがなくなってしまいましたね。
「こういうのをイジメって言うんじゃないでしょうか」
「まあ私たちはこのまま大人しく隠れていましょう。あれに巻き込まれたくないわ」
「アミューの本気とんでもないな、さっさと戻ってきて良かったぜ」
サインさんが戻ってきた。
イカツイ装備の男を抱えて…
アーマードのボスですね多分。
「あんたどこに行ったかと思ったら…あら、そいつアーマードのボスじゃない。よく捕まえられたわね」
「俺は隠れるのが得意なんだ」
得意どころじゃ普通は見つかってしまうもんですがね。前線でも通用する【隠れる】は自慢しても許されると思います。
ふとアミューさんの今回の戦いを思い返して僕は気付いた。
(ああ、そういうことですか…)
アミューさんが堂々とミニガンを乱射していたのは自分が目立って隠れたサインを隠すため。本気を出したのもサインが敵のボスを確保して戻ってきたから。
(なんやかんやでいいコンビなのかもしれませんね2人は)
鍵屋はちょっとほっこりした。
蹂躙されるアーマードたちの断末魔を聞きながら…
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